
え?あの大物も…夏の甲子園で“期待外れだった”9人のドラフト候補…「成長を感じず物足りない」と元ヤクルト編成部長
第107回全国高校野球選手権大会はいよいよ今日23日に甲子園で決勝を迎える。沖縄尚学の末吉良丞と日大三の田中諒のスーパー2年生対決が注目を集める一方で今大会では3年生のドラフト候補は不作だった。プロから注目を浴びながら期待を裏切り、宿題を残したドラフト候補を元ヤクルト編成部長で故・野村克也氏の参謀としてヤクルト、阪神などでコーチも務めた松井優典氏にリストアップしてもらった。
神村学園の朗希も全体的なレベルアップが必要
決勝戦の注目のひとつが沖縄尚学の左腕、末吉と、日大三の4番、田中のスーパー2年生対決。元ヤクルト編成部長で阪神ではスカウトも務めた松井氏も「末吉の疲れが心配だが、来年のドラフトでは間違いなく上位で消える2人の対決が楽しみ。末吉の腕が遅れてくる独特のスライダーに、バットの振り幅があり、パワーだけでなくコンタクトゾーンを広く持つ田中がどう対応するか」と注目している。
だが一方で今大会を振り返るとプロがリストアップしていたドラフト候補の中で期待を裏切り宿題を残した“残念な”選手が少なくなかったという。
「怪我や不調の影響があったのかもしれないが、私が編成部長であれば今の段階では、ちょっと指名に二の足を踏んでしまい、大学、社会人などでのさらなる成長に期待したいドラフト候補が何人かいた」
投手では、健大高崎の1m73、77Kgの左腕、佐藤龍月が、その一人だ。昨年トミー・ジョン手術を行い、なんとか夏に間に合ったが、最速147キロが142キロ止まり。京都国際戦の4回二死一、三塁から3番手として救援登板し、小川礼斗をインハイのストレートで遊ゴロに打ち取るも、5回、6回といずれも先頭打者を四球で歩かせて、1点ずつ献上してゲームの流れを取り戻すことができなかった。
「佐藤の特徴はクロスステップだったが、真っ直ぐ踏み出すようになった。おそらく手術した肘への負担を考えてフォーム修正をしたのだろう。左打者には背中越し、右打者には食い込んでくるようなボールの角度がなくなった」
体型が1m85、78Kgと細身で最速151キロを投げるところからドジャースの佐々木朗希に重ね、“神村学園の朗希”として期待を集めた神村学園の右腕の早瀬朔も初戦で姿を消した。今大会の最速は148キロで創成館を相手に10安打を打たれながらも、踏ん張っていたが、7回二死二、三塁で145キロのストレートが高めにスッポ抜けて、三塁走者の生還を許し、それが決勝点となり0-1で敗れた。
松井氏は「投球バランスがいいが、ボールの強さ、体全体のバネのようなものを感じなかった。総体的にレベルの引き上げが必要」と厳しい評価。
智弁和歌山の最速152キロで1m83、87Kgの大型右腕、宮口龍斗も「センバツからの成長を感じず物足りなかった」と評価を下げた。
1回戦の花巻東戦で2番手として6回から登板、いきなり先頭の赤間史弥にスライダーをレフト前に運ばれ、一死二塁から高橋蓮太郎にまたスライダーをレフトへもっていかれて1点を失っている。センバツでは最速151キロが出ていたが、今大会は146キロ止まり。本人は大学進学希望だ。
現オリックスの吉田輝星の弟として話題を集めた金足農の1m79、86Kgの右腕、吉田大輝にも「今の段階ではプロでは厳しいかも」との評価。1回戦の沖縄尚学戦で3番手として5回二死三塁のピンチに救援登板、宜野座恵夢をインハイのストレートで二ゴロに打ち取り、6回には自己最速の147キロを叩きだした。だが、7回二死一、三塁で、阿波根裕にカーブをレフト前に弾き返され、これが決勝点となり0-1で敗れた。大会前に足を痛めていた影響で先発は回避していた。
「肩の可動域が狭いのが気になった。怪我の影響もあってか、いわゆる“ライン”からストレートが落ちてしまっていた。大学で4年間、時間をかけるのがベストかもしれない」