• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 「まだ現実を受け入れられない」武居由樹が号泣TKO負けでWBO王座から陥落…那須川天心とのドリームマッチも遠のく
WBO王座から陥落した武居は号泣した(写真・山口裕朗)
WBO王座から陥落した武居は号泣した(写真・山口裕朗)

「まだ現実を受け入れられない」武居由樹が号泣TKO負けでWBO王座から陥落…那須川天心とのドリームマッチも遠のく

 プロボクシングのWBO世界バンタム級王者の武居由樹(29、大橋)が14日、名古屋のIGアリーナで、同級1位のクリスチャン・メディナ(25、メキシコ)に4回1分21秒TKOで敗れ、3度目の防衛に失敗した。武居は1回に強烈な右のフックを浴びてダウンを喫するとまだダメージが回復していない4回に右アッパーの7連打を浴び、レフェリーがストップした。武居は号泣。武居戦を熱望していたWBA世界同級休養王者の堤聖也(29、角海老宝石)も「悔しい」とショックの色を隠さなかった。また将来的な対戦に期待が寄せられていた那須川天心(26、帝拳)は、そもそも11月にWBC世界同級王座決定戦で元WBA世界同級王者の井上拓真(29、大橋)と対戦する方向だが、将来的な武居とのドリームマッチも一歩遠のいてしまった。

 

この右フックで一度目のダウン(写真・山口裕朗)

 右フックで1回目ダウン→最後は右アッパー7連発

 1万6000人で埋まったIGアリーナを悲鳴が包む。
 立ち上がりの1ラウンド。いきなり武居が至近距離で右フックを放ち、その打ち終わりにガードがガラ空きとなったところに強烈な右フックを浴びてダウンを喫した。
 ロープで後頭部を打つほどの衝撃を受けたダウンだった。
「1番目のダウンは正直あんまり覚えていない。右のオーバーフックには気を付けようと思っていたんですけど、どういう風にもらったか、まだ自分で、ちょっと把握できていない」
 見えないパンチだった。
 一方のメディナは「練習してきたパンチだ」と試合後に自慢気に明かした。
 K-1で鍛えた肉体を持つ武居は立ち上がったが、明らかにダメージが残っていた。八重樫東トレーナーは「もう1回ここから立て直していこう」とアドバイスを送った。

 左のボディで活路を開こうとしたが、単発で終わり、右のリードブローで距離さえ作れなくなっていた。
 そして4ラウンド。コーナに詰められ、左フックを浴び、右のアッパーをなんと7連打。2発目で腰が落ち、サンドバッグ状態になるとレフェリーが割って入った。
「自分の中でまだ正直できたっていうところがある」
 抗議の涙だったのか、悔し涙だったのか。
 コーナーからずり落ちながら武居は号泣した。
 昨年5月に東京ドームで、ジェイソン・モロニー(豪州)との激戦を判定で制してボクシング転向9戦目にして世界のベルトを腰に巻いた。初防衛戦はダウンを奪われる苦しい展開だったが、元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)に判定勝利。 
 V2戦を前に右肩を負傷して試合が延期となったが、5月にユッタポン・トンディー(タイ)を1ラウンドで沈め、存在感を示していた。だが、井上尚弥が迎え撃ったムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)以上に最強の挑戦者と予想されていたメディナに力の差を見せつけられた。
「ほんとにただ悔しい。まだあまりちゃんと現実を受け入れられていない。本当に言い訳もないですし、単純uにメディナが強かった。パワーもあったし対策をされていた。技術も感じました」
 2年前のIBF世界同級挑戦者決定戦でサウスポーの西田凌佑(六島)に空回りさせられて判定負けしたメキシカンとはまるで別人だった。サウスポーの那須川天心のスパー相手を3度務め、「来日する度にパンチを当てるのが難しくなった」と、天心もその成長を認めていた。天心とのスパー映像を見た武居も、八重樫トレーナーも「サウスポーへの入り方が上手くなっている」と、警戒していた。

 

関連記事一覧