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大谷翔平が3本塁打10奪三振の歴史的快挙でシリーズMVP(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
大谷翔平が3本塁打10奪三振の歴史的快挙でシリーズMVP(写真:Imagn/ロイター/アフロ)

「周囲の声が闘争心に火をつけた」ロバーツ監督が明かすスランプだった大谷翔平が驚愕3本塁打で復活した理由…「良い所と悪い所を探したい」の飽くなき向上心

 ドジャースの大谷翔平(31)が17日(日本時間18日)、本拠地でのブリュワーズとのリーグ優勝決定シリーズ第4戦に「1番・投手兼DH」で出場、投手としては7回途中までに100球を投げてわずか2安打10奪三振無失点の快投で勝ち投手となり、打っては1回、4回、7回に3本塁打。レギュラーシーズ、ポストシーズンを通じてメジャー初の10奪三振&3本塁打の歴史的快挙を成し遂げた。チームは5-1で勝利し4勝0敗で2年連続のワールドシリーズ進出を決め、大谷はシリーズMVPに輝いた。デーブ・ロバーツ監督(53)は「地球上最高の選手である理由を示した」と称賛し、打撃スランプからの復活理由を明かした。

 ロバーツ監督「彼が“地球上で最高の選手”と呼ばれる理由がそこにある」

 試合後のロバーツ監督の公式記者会見。
 米「ドジャーブルー」が伝えた映像によると、シャンパンファイト後の会見で、米記者が初っ端に聞いたのは、スイープによるワールドシリーズ進出を決めたことではなく、大谷に関するものだった。
「おそらく史上最高のポストシーズンのパフォーマンスだったと思う。これまで多くのポストシーズンの試合があったけれど、彼が“地球上で最高の選手”と呼ばれる理由がそこにある。投げても打っても、彼は多くの人の記憶に残る瞬間を作り出した。しかも、それがシリーズを決める試合で、ホームでの勝利の中だった。そしてNLCSのMVPまで手にした。特別な夜だ。彼と同じチームにいて、この旅を共にできたことが本当にうれしい」
 王手をかけた大一番で大谷は、驚愕の3本塁打に6回無失点10奪三振。しかも、4回にチャド・パトリックのカットボールをジャストミートした2本目は、右中間の屋根の上を越えて場外へ消えていった。
 その飛距離は469フィート(約142.9メートル)。ポストシーズンで歴代5位の飛距離となる特大弾だった。ベンチでフレディ・フリーマンや、キケ・ヘルナンデス、ミゲル・ロハスらが頭を抱え、ブルペンでも、アレックス・ベシアらが同じポーズをとっていた。
 ロバーツ監督は「あの飛距離には驚いたね。あの打球のスピードと飛距離は本当に凄かった。でも彼には“予想外をやってのける力”がある。私は幸運にもそういう瞬間を間近で何度も見てきた」と、目を丸くしていた。
 ちなみにポストシーズンの歴代最長弾は、2017年のシリーズ優勝決定シリーズ第7戦で、当時カブスのウィルソン・コントレラスが、リグレーフィールドで、ドジャースの左腕アレックス・ウッドから放った491フィート(約149.657m)。ちなみにこのコントレラスは、ブリュワーズの4番に座ったものの、大谷から2打席連続三振を奪われたウィリアムス・コントレラスの実兄である。
 そして大谷は7回に今季30セーブをマークした守護神トレバー・メギルにカウント1-2と追い込まれてから、インコースに投じられた159キロのストレートをバックスクリーンの左に運んだ。
 まさかの3本目。ロバーツ監督は「もう驚きはなかった。正直、打つだろうと感じていた」という。
 大谷は、ディビジョンシリーズ、リーグ優勝決定シリーズと、スランプに陥っていた。徹底して左腕をぶつけられ、彼らは、皆シンカーでインサイドを攻め、外角の変化球で揺さぶってきた。この間、29打数3安打で打率、103、14三振、2打点である。
 大谷は移動日に「試したいことが何個かあった」と、ドジャース移籍後初めて屋外でフリー打撃を行った。その翌日のゲームでは初回に左腕のアーロン・アシュビーから三塁打を打ち、先制点につなげたが、その後は2三振に終わり、ワシントンポスト紙に「打撃はグチャグチャ」「投球ごとに、ためらいのようなものがあり、反応がほんの一瞬遅れている」と報道されるなど打撃に関しては“逆シリーズ男”に甘んじていた。しかもレギュラーシーズンでは登板日の打撃成績も、打率.222(4本塁打・21三振)とふるわなかった。その大谷の打撃が、なぜ「リアル二刀流」の日に完全復活を遂げたのか。
 ロバーツ監督は、「特に具体的な(復活の兆しの)サインがあったわけではない」としながらも、その強靭なメンタルが復活の理由のひとつとしてあったことを明かした。
「でも彼の自信は揺るぎないし、練習も常に一貫している。彼は才能がありすぎるし、大舞台で動じるタイプじゃない。そういう選手は、必ずどこかで結果を出すとわかっていた」

 

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