角田裕毅が「かなり満足な内容」でメキシコGPのFP2で7番手でも英メディアが「彼の将来に悪い兆候」と悲観的に報じた理由とは?
F1の今季第20戦となるメキシコGPが24日(日本時間25日)、首都メキシコシティのルマノス・ロドリゲス・サーキットで開幕し、レッドブルの角田裕毅(25)がフリー走行1回目(FP1)で8番手、同2回目(FP2)では7番手のタイムをマークした。今レース後にも来季の去就決定が決まる角田は「かなり満足できる内容だった」と初日を振り返ったが、FP1ではマックス・フェルスタッペン(28、オランダ)に代わって出走したアービッド・リンドブラッド(18、英国)が6番手へ躍進。神童の後塵を拝した角田を、英国メディアは「彼の将来にとって悪い前兆」と悲観的に伝えた。
“神童”リンドブラッドがFP1で角田より上をいく6番手のタイム
忘れていた感覚が蘇ってきた。
FP1が8番手、FP2を7番手でフィニッシュした。絶対的存在のフェルスタッペンならば当たり前の仕事も、角田にとっては実は、今季20戦目で初めて。姉妹チーム・レーシングブルズ時代を含めても、FP1とFP2でともに3番手に入った昨季のメキシコGP以来だった。
レース初日の金曜日は、翌日の公式予選、そして最終日の決勝へ向けてマシンのセッティングを含めたさまざまなデータを収集する場にもあてられる。それでもF1公式サイトが伝えたフラッシュインタビューで、角田は充実した表情を浮かべながら初日を振り返った。
「金曜日はかなり満足できる内容だったと思う。全体的に安定した金曜日は久しぶりだからね。ロングランだけでなくショートランでも改善すべき点は残っているが、金曜日の現時点では、全体的に見ればかなり良い位置にいると言っていい」
7位入賞を果たした前戦の米国GP後に、角田は13番手に甘んじた公式予選を反省しながら「今はショートランに集中して、予選を可能な限り改善していきたい」と語っていた。有言実行に映るFP1とFP2のラップタイム。角田はさらにこう続けた。
「明日に向けて見直すべき点や最適化すべき要素は確かに多いし、決して簡単な作業ではない。全体的なバランスはまずまずだが、特に立ち上がり時の制限に苦戦している。このトラックでは従来からある課題なので、妥協点を見出す必要がある。マシンの強みを強化できる要素は、あらゆる角度から検討している」
来季の去就に関しては、サマーブレイク中に角田が、チーム首脳と協議して後半戦の内容と結果で判断することで合意した。チームは、このメキシコGPを最終期限に来季の布陣を発表する考えでいた。その間、オランダGPで3位に入るなど、姉妹チーム、レーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(21、フランス)が存在感を示したため「来季のハジャーの昇格内定」とまで報じるメディアもあった。だが、アゼルバイジャンGPの入賞から角田が盛り返し、先の米国GPでも入賞したことで、その“Xデー”を先延ばしとする可能性をレーシングアドバイザーのヘルムート・マルコ氏が示唆していた。
急転、残留の可能性が出てきた角田によって、幸先のいいFP1、FP2の結果となったわけだが、そう喜んではいられなかった。
ルーキーに公式セッションへの出走機会を与える規定のもとで、フェルスタッペンのマシンを駆ってFP1に臨んだリンドブラッドが6番手と躍進したのだ。
8番手の角田とは0秒093差。英国のF1専門メディア『F1 OVERSTEER』は「メキシコでのFP1は角田の将来にとって悪い前兆となる」と厳しい見方を報じた。
「角田はメキシコGPのFP1で、しっかりとしたラップを周回したいと思っていたはずだ。実際にまずまずのタイムを残した中で、彼が予想していなかったのは18歳のチームメイトが彼を追い越す事態だった。レッドブルは18歳のリンドブラッドを、チームの将来における突出した才能と見なしている。今回の印象的なFP1により、リンドブラッドは間違いなく来季のシート獲得へ向けて良い立場に立つだろう」

