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球界重鎮は阪神の日本シリーズ完敗の理由のひとつに藤川監督の経験不足を指摘した(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
球界重鎮は阪神の日本シリーズ完敗の理由のひとつに藤川監督の経験不足を指摘した(写真:Imagn/ロイター/アフロ)

なぜ“セ最強”阪神はソフトバンクに1勝4敗で完敗したのか…「藤川監督と小久保監督の経験値の差と育成組織の規模の違い」球界重鎮が忖度抜きで理由を分析

 日本シリーズはソフトバンクが4勝1敗で阪神に完勝して5年ぶり12度目の日本一に輝いた。阪神有利予想が多勢を占める中でソフトバンク優勝を予想していたのが巨人OBでヤクルト、西武で日本一監督となっている広岡達朗氏(93)だ。球界重鎮は忖度抜きで阪神が敗れた理由を解説した。

 「セパ格差。野球の質が違った」

 1点差ゲームが4試合。第5戦は2点のリードのまま勝ちパターンの継投に入るものの8回にペナントレースで50試合連続無失点の日本記録を更新し、クライマックスシリーズのファイナルステージ、日本シリーズでも6試合連続無失点を継続していた石井がギータこと柳田にまさかの同点2ランを許した。アウトローへの150キロのストレート。打たれてやむなしの声もあったが、ボールはわずかにシュート回転し、強打者柳田に外角オンリーの配球を狙われていた。
 延長に突入すると、藤川監督は第1戦で先発した村上を中4日でスペシャル投入。だが、延長11回に野村に逆方向のライトへ勝ち越しのソロアーチを浴び、4番の佐藤から始まる9回裏は松本裕に抑えられて、本拠地の甲子園で、小久保監督の胴上げを見ることになった。
 評論家の戦前予想は阪神有利の声が多勢を占めた。近藤がシリーズに間に合うかどうもわからず、中村晃も腰の手術でCSの途中で離脱。ベストメンバーが揃わない上に日ハムとのCSが第6戦までもつれこみ投手も疲弊していた。そのソフトバンクになぜ阪神は敗れたのか。
 実は、広岡氏は「有原、モイネロで2つ勝てる。打線もソフトバンクの得点能力が上」と、ソフトバンクの優勝を予想していた。
「紙一重の接戦をしたように見えるがそうではない。阪神の完敗だ。藤川と小久保の監督の経験値の差、洞察力の差が如実に出た。藤川は、前監督の岡田が残した遺産と、巨人を始めとした他球団があまりにだらしないため、ペナントレースは優勝したが、何か特別なことをしたわけではない。まだ1年目。まして私は監督に不向きと考えている投手出身。メジャー、独立リーグも経験して、解説者としてよく野球を勉強している藤川は、そのあたりの投手出身監督とは違うが、こういう短期決戦の中では、やはり1年生監督だったということだ」
 対する小久保監督には、指揮官として成長の跡がうかがえたという。
「小久保は、昨年の日本シリーズで横浜DeNAに敗れて、この1年で大きく変わった。人間的にも成長して、選手をどう褒めて、どう叱咤するかがわかってきた。シリーズでの投手陣の使い方も見事だった。選手の調子や能力、相性などをよく見ている。つまり洞察力が藤川とは違った」

 

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