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青木真也がまさかのTKO負けを喫した(写真提供・ ONE Championship)
青木真也がまさかのTKO負けを喫した(写真提供・ ONE Championship)

「青木真也はもう年を重ね過ぎた」まさかの壮絶TKO負けの“バカサバイバー”にONE総帥が事実上の引退勧告…大金星の手塚裕之は「負ければこれが最後」の契約内容を明かす

 アジア最大を標榜している総合格闘技イベント「ONE173」が16日、有明アリーナで行われ、第3試合のライト級MMAルールで“バカサバイバー”こと青木真也(42、フリー)が、元ウエルター級パンクラス王者の手塚裕之(35、ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)と対戦して第2ラウンド、嵐のような打撃攻撃にさらされ、最後は膝蹴りを浴びてまさかのTKO負けを喫した。青木が国内で負けたのは2009年のドリーム時代の桜井マッハ速人戦以来16年ぶり。試合後に青木は現役続行、ONEでの引き続きの出場の可能性を示唆したが、チャトリ・シットヨートンCEOは「真也はもう年を重ね過ぎた」と事実上の引退勧告を突きつけた。

 

手塚が打撃を仕掛けてマットに沈める(写真提供・ ONE Championship)

 有明アリーナに悲鳴と歓声が交錯した。
 第2ラウンド開始と同時に「いくしかない。ちょっとでも引くと相手のペースになる。開き直るしかない」と手塚が打撃戦を仕掛けて勝負をかけた。
 ボディショットを連発させて青木をケージに張り付けて尻もちをつかせると、そこに右フックの連打から、危険な膝蹴りをぶちこむとレフェリーが試合をストップした。手塚は花道を逆走して、あぐらを組んで腹切りポーズ。そしてのたうち回るパフォーマンス。それは勝ったときに、同じように花道を逆走してあぐらを組むセレブレーションパフォーマンスをする青木を皮肉ってのオマージュだったという。
「いろんな思いがのったパンチと膝。ゾーンに入った感覚があった」
 1ラウンドは青木の独断場だった。タップ寸前まで手塚を追い詰めた。グラウンドで足をロックして、左手の自由を奪い、体をねじって首を決めにいくプロレス技のグラウンドコブラのようなツイスターで攻め立てられ、手塚は「バキバキと(骨が)鳴った。脇腹を痛めた」という。
 だが、「腕を折られてもタップはしない。ここをしのげば…」の覚悟があった。
 太い腕で青木を引き離し「足を使え」のセコンドの指示に従って青木の“決め”を許さない。
 一方の42歳の青木はその5分間の戦いで体力を失っていた。
 インターバルでセコンドについていた愛弟子の野村駿太に「疲れちゃった」と言ったという。RIZINで存在感を示している28歳の野村は「まだいける」と激励したが、「いけるわけがない。よく考えろ、お前じゃないんだよ」と、青木は半ばギブアップ。
 そして「もういいやと思った」と、“試合を投げた”ことも明かした。 
 サブミッション地獄を回避した手塚にフィニッシュのチャンスが生まれたのも当然の成りゆきだったのかもしれない。
 当初、青木の試合後会見は行われないというアナウンスがあったが、「ダメージはまったくない」という青木は会見場に現れて、「いいよ、やるよ」と緊急会見に応じた。
「いい試合だっただろう?最高だったと思うよ。なんの後悔もない、最高のプロレスが出来たと思う。10年格闘技やって10年プロレスやって、最高のプロレスができたと思う」
 真剣勝負のMMAでプロレス?
 青木は「格闘技ファン、格闘技マスコミには伝わらないかもしれない。オレが何を言っているかよく考えて下さいよ」と謎かけをした。
 前日の計量後のフェイスオフで事件が起きた。
 手塚がつめてきたところで、青木が突然、投げを打つ暴挙に出たのだ。
「仕事をしたでしょう。あれでPPVを買った奴もいるだろうしね。今の格闘技選手はわかんないと思うけど、これが強さだから。勘違いしてもらっちゃ困るんだよ」
 青木としては、そこからあえて「プロレス」と表現した物語が始まっていた。
 しかし、やられた手塚にしてはたまったものではない。
「肘をすりむき、腰を痛めた。ぶん投げるなら先に言ってくれないと(笑)」
 ケージ内のインタビューではAmazonで購入した2000円のネックレスもちぎれたことを明かして「5万ドルのボーナスを下さい」と言って笑いを誘った。
 手塚はSNSで笑いものにされたことを明かす。
「Xでは(投げた青木の)無表情がカッコいいとか、達人とか、そういう問題じゃない」
 すべてが青木劇場だった。
 前日に話題を作り、サブミッションで持ち味を見せて、肘を落とす凄みまでも感じさせて、観客の目を釘づけにしておいて、最後は迫力満点の打撃を浴びて壮絶に散る。負けの美学を見せるのもプロ。すなわち青木の言うプロレスなのだろう。

 

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