「那須川天心を破った井上拓真の戦いに学ぶ」佐々木尽が来年2月19日に約8か月ぶりの再起戦…「ヘイニーなら割と相性がいい。恋愛みたいな感じで」と豪語
プロボクシングの元OPBF東洋太平洋&WBOアジア・パシフィック・ウエルター級王者の佐々木尽(24、八王子中屋)が来年2月19日に後楽園ホールで再起戦に臨むことが26日、発表された。佐々木は6月にWBO世界同級王者ブライアン・ノーマン・ジュニア(25、米国)に5回KO負けを喫して以来、約8カ月ぶりのリングとなるが、アップデートしたニューバージョンの姿を見せると宣言。トレーナーの中屋廣隆氏(71)は、練習と考え方の変化で最高のパフォーマンスに仕上げて那須川天心(27、帝拳)を判定で下してWBC世界バンタム級王者となった井上拓真(29、大橋)の姿勢を学びたいとの考えを明かした。
「世界とは絶望すべき差はない」
持ち前のポジティブさは変わらない。愛されるキャラだ。
いつもの「日本人史上初のウエルター級世界王者になる男」の自己紹介から記者会見をスタートさせた佐々木は、来年2月19日に決まった再起戦に向けて「世界を目指す覚悟で仕上げていく。新しい自分を楽しみにしてもらえたら」と、アップデートされたニューバージョンの佐々木尽を披露することを約束した。
6月にノーマンの世界ベルトに挑むも、3度のダウンを奪われて失神KO負けを喫した。そしてそのノーマンが11月にデビン・ヘイニー(米国)との防衛戦で2回にダウンを奪われるなど、ライト級の4団体統一王者時代にワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)さえ寄せ付けなかった無敗のヘイニーの高度なディフェンステクニックの前に、ほぼ何もできず判定負けし、王座から陥落した。
さらに世界が遠くなったと感じてもおかしくないはずだったが、佐々木の受け取り方は違っていた。
「僕の予想はヘイニーの判定勝ち。ノーマンに絶対に勝って欲しいという気持ちがあったが、考えていた展開とは違った。ノーマンのパフォーマンスは良かったが、相性が悪かったと思う」
さらに佐々木はこう続けた。
「周りからは絶望という声を聞くが、そこまで絶望すべき差ではない。絶対に世界に届かないという人も多い中でそこまでじゃないよと。ノーマンに僕が負けて、そのノーマンがヘイニーに負けたから(世界が)遠いんじゃなく、ノーマンがヘイニーのようなスタイルが苦手だっただけ。決して手が届かないとは思わなかった。もう少しボクシングを知っていけば、必ず届くと思っている」
自信は失っていない。
3階級制覇を成し遂げ、リング誌のパウンド・フォー・パウンド・ランキングの10位にランクインしたヘイニーも佐々木にとっては遠い存在ではない。
「(世界奪取が)さらに厳しいという感覚より、燃えた。心が。ヘイニーなら割といける。相性はいい。恋愛みたいな感じで」
ボクシングの対戦相性は、じゃんけんに例えられることが多いが、佐々木はそれを恋愛に例えて、こう豪語したのである。
世界ランキングからも名前の消えた佐々木がヘイニーに挑むなど夢のまた夢の話だが、そうまで言うのは、来年2月に決まった復帰戦へ向けての手応えの裏返しなのかもしれない。

