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WBO王者のアンソニー・オラスクアガに挑む桑原拓が公開練習を行った
WBO王者のアンソニー・オラスクアガに挑む桑原拓が公開練習を行った

井上尚弥vs中谷潤人の“代理戦争”?「負けられない理由が増えた」桑原拓が中谷の米ジム仲間である“仮想WBO王者”を演じたモンスターから秘策を授かる

 プロボクシングのWBO世界フライ級王者のアンソニー・オラスクアガ(26、米国)に17日に両国国技館で挑戦する桑原拓(29、大橋)が6日、横浜の大橋ジムで公開練習を行い、スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)に仮想王者になりきってマススパーリングの相手を務めてもらい秘策を授けられたことを明かした。大橋秀行会長(60)は、井上が応援来場することを明言した。オラスクアガは、来年5月に井上が東京ドームで対戦する中谷潤人(27、M.T)の米ロスでのジム仲間であり親友。この試合には来年5月に東京ドームで予定されている井上vs中谷の“代理戦争”の構図もあり桑原は「負けられない理由が増えた」と気合を入れ直した。

 拓真からは「バトンを渡した」とLINE

 急遽巡ってきた2度目の世界挑戦。
大橋会長が「1年前に挑戦した時よりも10倍いい」と、その仕上がりを評価すると、桑原も「前回を100とすると今回は1000」と胸を張った。
「モチベーションはマックス。KO勝ちでも判定勝ちでも競った試合でも、とにかく勝ちをもぎ取る。そういうイメージです」
 昨年の5月6日に東京ドームでの井上尚弥vsルイス・ネリ(メキシコ)のアンダーカードでWBA世界フライ級王者のユーリ阿久井政悟(倉敷守安)に挑んだが、見せ場のないまま、判定負けを喫した。その初挑戦のこの時期は「ふわふわした気持ちだったが今回は落ちついている」という。
 大橋会長は「井上拓真が天心選手に勝ち、これに勝って、次サウジアラビア(井上尚弥の防衛戦)につなげていきたい」とも付け加えた。
 11月24日の那須川天心(帝拳)を判定で下してWBC世界バンタム級王座を獲得した拓真の世界戦には刺激を受けた。風邪などの感染予防のため会場にはいかなかったがライブ配信で見て「やっぱりボクシングは素晴らしい。夢や感動を与えてくれる2人の凄い試合だった」と感銘を受けた。すぐさま同級生でジム仲間でもある拓真に「おめでとう」とLINEを送り、「バトンは渡した」との返信もきた。だが、一夜明け会見で拓真は「同級生からの連絡はあったか?」と聞かれ「現場で田中恒成に声をかけられたくらいで連絡はない」と答えた。
「記憶から飛んでいるのかな(笑))」
桑原は、拓真の記憶喪失を疑ったが、横から大橋会長が、そのお詫びにと、12月27日にサウジアラビアでのアラン・ピカソ戦を控える井上尚弥が、当日、応援に駆けつけることを明かした。
桑原は知らなかったようで「気合が入ります」と表情を緩めた。
 実は、その井上尚弥からは秘策を授かった。
オラスクアガの特徴を捉えた物真似の仮想WBO王者の動きで4ラウンドのマススパーをしてもらい、アドバイスをもらったというのだ。
 もちろん内容は明かせないが、「効果はめちゃくちゃありました。」と言う。
 井上が、仮想敵ボクサーを務めて、実戦で直接伝える鋭いアドバイスには定評がある。天心戦でも、拓真に徹底してアドバイスを送り、試合中もずっと言葉を送り続けていた。武居由樹が、WBO世界バンタム級王者のジェイソン・モロニー(豪州)に挑んだ際にも、対戦経験を生かしてモロニーを模倣した動きでマススパーの相手を務めて、秘策を授け、武居は見事に世界王座を獲得している。
「チャンスだから頑張れと声もかけていただいた」
 桑原にとってはこれ以上ない援軍だろう。
 しかも、オラスクアガと中谷は、ルディ・ヘルナンデストレーナーの同じ門下生でロスで共に汗を流してきた親友。この対戦には、井上vs中谷の“代理戦争”の構図がある。
 もちろん桑原も、代理戦争となることは「前から」意識していて「負けられない理由が増えました」と気負いを入れた。

 

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