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高梨沙羅が混合団体4年越し銅メダルに歓喜の涙(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
高梨沙羅が混合団体4年越し銅メダルに歓喜の涙(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

「今日は本当に幸せな1日だった」高梨沙羅を4年越しの混同団体銅メダルで泣かせた日本チームの勝利戦略とは何だったのか?

 ミラノ・コルティナ冬季五輪のジャンプ混合団体が10日(日本時間11日)、プレダッツオで行われ、日本は丸山希(27、北野建設)、小林陵侑(29、チームROY)、高梨沙羅(29、クラレ)、二階堂蓮(24、、日本ビール)の布陣で挑み同種目初のメダルとなる銅メダルを獲得した。前回の北京五輪の混合団体でスーツ違反で失格となり、一時は引退も考えた高梨は4年越しのリベンジを果たして「本当に今日は幸せな1日になった」と歓喜の涙を流した。

 「みんなに獲らせていただいたメダルが個人より倍嬉しかった」

 笑顔を輝かせながら両手を夜空へ突き上げた。
 表彰台がかかった日本の最後のジャンプ。アンカーの二階堂が101.0mをマークし、暫定首位に立った瞬間に日本のメダル獲得が確定。1番手の丸山、2番手の小林、そして二階堂と採点を見守っていた高梨が、4人の日本チームの中で一番派手な歓喜のポーズを作って感情を爆発させた。
 続くノルウェー、そして圧倒的な実力差で前回北京大会に続く連覇を達成したスロベニアに上回られ、最終的に3位で終えた表彰式後のフラッシュインタビュ―。2018年の平昌冬季五輪の女子個人ノーマルヒルで初めて獲得した銅メダルと比較しながら、高梨は思いの丈を必死に言葉に変換し続けた。
「個人戦で獲ったメダルよりもみんなで獲ったというか、獲らせていただいたメダルのほうが、本当に倍うれしかった」
 丸山、小林に続く3番手で起用された高梨は1本目で96.5mをマーク。ジャンプ前の5位から3位に浮上した日本を、前日の男子個人ノーマルヒルで銅メダルを獲得した二階堂がさらに2位へ引き上げて前半戦を終えた。
 そして、高梨は2本目でも97mをマーク。猛追してくるドイツとの差をしっかりとキープして二階堂に引き継ぎ、前回北京大会から正式種目に採用された混合団体で初のメダルとなる銅メダルに繋げた。4位のドイツとの差はわずか1.2ポイント。距離にして約60cmという超僅差の大接戦を制して表彰台に立った。
 スキーのジャンプ競技を長年取材してきたスポーツライターの岩瀬孝文氏は、女子個人ノーマルヒルでは13位だった高梨のジャンプをこう評価した。
「しっかりと2本飛ぼうという意欲が出ていましたし、今日は思い切りのよさも出ていました。それとポイントを稼ぐためのテレマークを着実に入れようと努力して、前足と後足の前後差を5人のジャッジに、より見えるように上手にスライドさせていました」
 忘れもしない前回の北京大会。1番手を担った高梨は1本目で103mのビッグジャンプを成功させた直後に、スーツの規定違反で失格を通告され、記録も無効となってその場で号泣した。無念の4位でメダルを逃した競技後も、取材エリアを泣きながら通過。憔悴しきった様子で「申し訳ございませんでした」とだけ絞り出した。
 直後に自身のインスタグラムに真っ黒な画像を投稿。その上で「今後の私の競技に関しては考える必要があります」と綴った高梨の脳裏には、引退の二文字もよぎっていた。
 前出の岩瀬氏も次のように指摘する。
「あのときの要因はいろいろとありましたが、国民にお詫びをして、もっと頑張りなさいと許しを得て辞める方向から一転、頑張らなければという気持ちに戻っていました。それがモチベーションとなっています」
 迎えた自身4度目の冬季五輪。
 混合団体のメンバーに選ばれた高梨は「自信もなくて、コーチに相談したときもありました」と、胸中を明かしていた。
「チーム戦となると足を引っ張ってしまう試合が多くて、ずっと団体戦への苦手意識で硬くなってしまうことが続いていました。自分のできる限りのことを尽くして、やってしまったことを返していこうという気持ちで4年間過ごしてきたので、それがし切れたかと言われるとどうなんだろうとは思いますけど、本当に今日は幸せな一日になりました」

 

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