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新4番に座ったレッドソックスの吉田正尚が3安打4打点の大爆発で最後の強化試合を終える(写真は資料:西村尚己/アフロスポーツ)
新4番に座ったレッドソックスの吉田正尚が3安打4打点の大爆発で最後の強化試合を終える(写真は資料:西村尚己/アフロスポーツ)

なぜWBC直前に大谷翔平“四球攻め対策”も万全の最強打線が出来上がったのか…栗山監督“恩師”ノムさんの金言…「フグ鍋は昆布を入れるだけで数倍味が変わる」

 いよいよ開幕が明日9日に迫ったWBCで優勝を狙う侍ジャパンは7日、大阪の京セラドーム大阪でオリックスと最後の強化試合を行い、9-1で快勝した。栗山英樹監督(61)は、本番直前に打線を緊急改造したが新4番に指名したレッドソックスの吉田正尚(29)が3安打4打点と爆発。6番に下がったヤクルトの村上宗隆(23)が初回にお目覚めの3ランを放ち、途中出場の山川穂高(31)にも待望の一発が飛び出すなど、2試合続けて打線が機能しての3連勝締めとなった。「3番・DH」で出場し、ヒット、四球で、2打席出塁した大谷翔平(28)が、本番では四球攻めされることが想定されるが、その対策も万全の“世界一”を狙う最強オーダーが出来上がった。

 打率1割台だった村上宗隆が3ランで覚醒

 最後の強化試合で栗山監督が動いた。
 ここまで全試合で4番に起用されながら16打数2安打の打率.125、ノーアーチと低迷していた村上を6番に下げ、合流2試合目のメジャーリーガー吉田を新4番に据え、絶好調の巨人の岡本を5番に入れる新打線を組んだのである。本番2日前の緊急改造がいきなり機能した。
 1回一死から「2番・ライト」のソフトバンク近藤が四球を選んで出塁。オリックスの先発、東のカーブにタイミングが合っていなかった大谷が、カウント1-2から外角のストレートをセンター前に返してつなぎ、続く吉田が先制のタイムリーをライト前へ引っ張った。そして二死一、二塁から村上がついに覚醒した。カウント3-1からの150キロの外角ストレートを引き付けて逆方向の左中間へ。対空時間の長い村上らしい3ランだった。
「今シーズン初ホームランです。ホームランを打った後の走り方を忘れていました。ちょっとほっとしました」とのコメントを伝えた。
 北京五輪の日本代表チームでチーフスコアラーを務めた三宅博氏は、「ここまで村上は、昨年のシーズン中のようなボールを呼び込む形ができていなかったが、その兆しを見せた」と分析。その一打の裏に“大谷効果”が見受けられたという。侍のメンバーは、試合前の大谷のまるでショータイムのような驚愕のフリー打撃練習に釘付けになっていたが、村上の様子だけが違っていたというのだ。
「誰もが5階席まで届く160メートル級の打球の行方に目がいっていたが、村上だけは、その打球の行方を追わず、大谷のフォームを最初から最後までチェックしていた。その姿勢こそが、やはり史上最年少3冠王になった打者。間違いなく大谷から刺激を受けたと思う」
 緊急打線改造を決断した栗山采配も評価した。
「国際試合は調子の悪い選手の状態が上がってくるのを我慢しているうちに終わってしまう。できるだけ早く手を打つのは正解だと思う。名古屋での中日戦までは、ポツポツと切れて点だった打線が、線になって機能し始めたのは、明らかに大谷、吉田、ヌートバ―の3人のメジャーリーガーが加わったことにある。たった1人、2人のメンバーが変わるだけで激変する可能性があるのが野球。野村克也さんがよく口にしていた金言を思い出した。きっとヤクルトでの現役時代に野村さんのもとで野球を学んだ栗山監督の野球ノートにも、その言葉が残っているのではないか」
 三宅博氏は、阪神のチーフスコアラーとして、3年間、故・野村監督のID野球を支えてきたが、打線が不振に陥ることが、多々あり、その際、ノムさんは打開策として、こんな金言を残していたという。
「三宅よ。フグ鍋は、昆布を入れるだけで数倍にも味が変わるんや。たったひとつの具材でビックリするくらいに美味しくなる。打線も一緒。味を変えることができる打者が1人、2人加わるだけで一変できるもんや」
 栗山監督も、野村門下生。彼の野村ノートに、その金言が残っているかどうかは定かではないが、メジャーリーガーという3人の“昆布”が、侍打線を“味変”するために必要なベストの布陣を組んだ。
 メジャーリーガーは規定で強化試合には6、7日の2試合にしか出場できなかったが、前日の阪神戦で「3番・DH」で出場した大谷が2打席連続の驚愕の3ランで6打点、先制点は「1番・センター」のヌートバーのタイムリーで「5番・レフト」の吉田もタイムリーを放ち、メジャーリーガーだけで全得点を叩き出し、敗れた阪神の岡田監督を「全部メジャーリーガーやんか」とぼやかせた。そして、この日は、打線を動かしたことで、さらなる“味変”が起きた。
 新4番の吉田が3打数4打点と爆発。気分が楽になった村上が一発を放ち、途中出場の山川にまで待望の一発が出て、どすこいパフォーマンスが京セラドームを盛り上げた。

 

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