発表されたセンバツ甲子園「選考ガイドライン」の”曖昧さ”にネット炎上
日本高校野球連盟は12日、選抜大会の理念を明示した「大会綱領」と、出場校の選考過程を初めて明文化した「選考ガイドライン」を発表した。昨秋の東海大会準優勝の聖隷クリストファー(静岡)ではなく同4強の大垣日大(岐阜)が選ばれ、物議を醸した今春の第94回大会後にセンバツ改革検討委員会で重ねられてきた議論をもとに作成した。しかし、曖昧さが解消されるどころかさらに増した内容に、ファンからは早くも批判が集中している。
「選考委員が視察する地区大会の結果、内容を優先する」
大阪桐蔭(大阪)の4年ぶり4度目の優勝で幕を閉じた、今春の第94回選抜高校野球大会を終えてから、選抜大会を主催する日本高野連と毎日新聞社、これまでも必要に応じて行ってきたセンバツ改革検討委員会を6回にわたって開催してきた。
5月には横浜高野球部元監督の渡辺元智氏ら3人を外部アドバイザーとして選任。各地区高野連の代表理事や、第94回大会の地区別小委員会の正副委員長らもまじえ、大会理念の再検討と出場校の選考過程や発表のあり方について協議してきた事項が、12日に開催された大会運営委員会をへて大会綱領と選考ガイドラインとして発表された。
注目すべきは初めて明文化された選考ガイドラインとなる。基本原則と選考ポイントとに分けられ、それぞれ4項目ずつが設けられた。
基本原則は次のようになっている。
(1)選抜高校野球大会は招待大会であり、選考委員が選考委員会において厳正、公平に出場校を選出する。
(2)本大会の特色は予選を持たないことである。秋季大会の試合結果は重要ながらも、あくまで参考資料の一つである。
(3)本大会の理念を実現するため、勝敗のみにとらわれず、出場にふさわしい学校を選出する。
(4)選考委員それぞれが選出の理由を客観的に説明できるように努める。 その上で選考ポイントを次のように定めた。
(1)秋季大会の試合結果、試合内容をもとに評価する。その割合は同程度とし、総合的に判断する。
(2)試合内容については投手力、打撃力、守備力、機動力など技術面のみならず、作戦の徹底、創意工夫、粘り強さといった試合運びや、フェアプレー、マナー、きびきび、はつらつとした動きといった野球に取り組む姿勢のほか、戦力のバランスやチームの潜在能力、大会を通しての成長ぶり、チームワークなども評価の対象とする。
(3)複数の学校の評価が並んだ場合、できるだけ多くの都道府県から出場できるよう地域性も考慮する。
(4)秋季大会については、府県大会についても参考とするが、選考委員が視察する地区大会の結果、内容を優先する。 今春の第94回大会では、2枠が割り当てられた東海地区から選出された2校をめぐってさまざまな意見や批判が殺到。ネット上は炎上状態と化した。
昨秋の東海大会を制した日大三島(静岡)が順当に選ばれた一方で、続く2校目が準優勝した聖隷クリストファーではなく、準決勝で日大三島に敗れた大垣日大だった。東海大会の優勝校、準優勝校が順当に選出されなかったのは、1978年の第50大会以来、実に44年ぶりであり、あまりにも不可解な選考だとして物議を醸した。