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中国戦との開幕戦は“二刀流”大谷翔平の投打における活躍で突破したが世界一奪回への課題も残した(写真・CTK Photo/アフロ)
中国戦との開幕戦は“二刀流”大谷翔平の投打における活躍で突破したが世界一奪回への課題も残した(写真・CTK Photo/アフロ)

なぜWBC“開幕”の中国戦は中盤まで大谷翔平が「重たい」と語った接戦になったのか…元WBCコーチが指摘する二刀流スター活躍の裏に見えた課題とは?

 侍ジャパンのWBC1次ラウンドの戦いが9日、東京ドームで開幕。日本は中国を8-1で下して白星発進した。「3番・投手/DH」で出場したエンゼルスの大谷翔平(28)が4回1安打5奪三振無失点&2安打2打点の活躍でチームを引っ張ったが、6回までは3-1の拮抗したゲーム展開となった。2013年のWBCで戦略コーチを務めた現在BCリーグ新潟アルビレックス監督の橋上秀樹氏が指摘する世界一奪回へ向けて残した課題とは?

 「中盤(どうなるか)わからなかったゲームだと思う」

 東京ドームのお立ち台で二刀流スターは「重たい」という言葉を3度使った。開幕戦の呪縛がチームにのしかかっていた。
「中国も素晴らしい野球をやっていて、中盤(どうなるか)わからなかったゲームだと思うので、全員で勝つことができて素晴らしいゲームだったと思います」
 エンゼルスからの要望で1次ラウンドの球数制限は65球であるにもかかわらず50球の制限をつけられていた大谷が、抜群の修正能力で、ストレートが制御できないと察知すると軸のボールをスライダーに切り替えて中国打線を4回までヒット1本の無失点に抑え込んだ。打っては、4回一死一、三塁から、左中間フェンスの上部を直撃する2点タイムリー二塁打で、自らを援護した。「あともうちょっとでホームランだったので、もうひと伸びできればよかったんですけど」と悔やむ一打だったが、WBC版“二刀流ショータイム”でチームを開幕白星へ導いた。
 だが、7回に横浜DeNAの牧秀悟に得意の逆方向へのWBCチーム第1号が飛び出し、8回に強化試合で1本のヒットも出ず絶不調だった途中出場のヤクルト山田哲人のタイムリーなどで大量4点を追加するまでは「なかなか1本が出なくて少し重い空気」(大谷)が流れていた。
 大谷は、中国をリスペクトしたが、繰り出された6人の投手で150キロを超えるボールを投げてきた投手は一人もおらず、27個のアウト中17個の三振の山を築いた打線のレベルも明らかに“格下”だった。その中国を相手に6回までは拮抗したゲームとなってしまったのである。
 なぜ苦しんだのか。
 準決勝でプエルトリコに1-3で敗れて世界一を奪えなかった2013年のWBCで日本代表の戦略コーチを務めた橋上氏は、3つの理由を挙げる。
「開幕戦は独特の緊張感に包まれる。力みが微妙な狂いを生み、出だしで躓くと、プレッシャーとイライラが募り、負の連鎖のようなものにはまってしまう。相手が日本に負けて元々だとノビノビやってくるので、なおさらだ。2009年も中国相手に1、2回のチャンスでタイムリーが出ずに空回りしていたし、私がベンチにいた2013年はブラジル戦で先発したマー君は立ち上がりに失点して2イニングで降板した」
 原辰徳監督が指揮を執り世界一に輝いた2009年大会も初戦の中国戦で1回、2回と得点圏に走者を進めながらもタイムリーが出なかった。3回に村田修一の本塁打などで3点を奪い、先発のダルビッシュ有が4回無失点でゲームを作ったため、結果的に4-0で勝ったが、1番のイチローは5打数ノーヒットに終わり“格下”の中国に重々しいゲームとなった。
 山本浩二監督で挑んだ2013年大会初戦のブラジル戦では、エースの田中将大が、プレッシャーで本来の投球ができずにわずか23球で降板。逆転に成功したが5-3の接戦だった。

 

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