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ピッチクロック違反を取られた大谷翔平は球審に説明を求めたが、その協議中に取ったある行動が全米で称賛(写真・AP/アフロ)
ピッチクロック違反を取られた大谷翔平は球審に説明を求めたが、その協議中に取ったある行動が全米で称賛(写真・AP/アフロ)

ピッチクロック違反を取られた大谷翔平が「グレーゾーン」と語った部分とは何か…異なる判断基準が招いた混乱

 エンゼルスの大谷翔平(28)が5日(日本時間6日)、シアトルで行われたマリナーズ戦に「3番・投手兼DH」で先発出場し、勝利投手となったが、投打でピッチクロック・バイオレーションを取られるという出来事があった。

走者の動きが影響する打者のピッチクロック違反

 

 初回、1点を取られ、なおも1死二塁の場面。カル・ローリーを迎え、初球のセットに入ろうとしたタイミングで違反を宣告された。打者としては六回、マイク・トラウトが四球で歩いたあとで大谷が打席に入ったが、残り8秒までに構えに入っていないとして、再びバイオレーションとなった。
 2つともやや不運。打者としてのバイオレーションについては、大谷はこう説明した。
「ランナーをちょっと待っていたので、僕が入るのが遅れた。逆に僕がフォアボール取ったときとかは、早く塁にいかないと、次のバッターに迷惑がかかるかな、という感じですね」

 一塁に到達したトラウトが、ゲームに入る準備が出来るまで、大谷は打席を外して少し待った。ところがすでにカウントは始まっていた。このプレーに関しては、次から意識すればいい、という程度だったが、問題は初回に取られた投手でのバイオレーション。イニングが終わると大谷は、フィル・ネビン監督、水原一平通訳を交え、球審に確認を求めた。
 ペナルティを課された時点で、残り13秒。つまり、オーバーしたわけではない。では、何があったのか?

 直後、怪訝な表情を見せた大谷に対し、捕手のローガン・オハピーと球審は、ともに2本の指を自分の目に向け、『打者とのアイコンタクトが成立していない』という仕草を示した。
 投球動作の始動時には、打者が構え、ある程度、アイコンタクトが成立した段階で投げなければいけないというのは、オープン戦でマックス・シャーザー(メッツ)が、不意打ちのような投球をしたことで追加されたルールだが、その定義も実は曖昧。現時点では、球審の主観でしかない。大谷はオークランドでの開幕戦で一度、警告を受けている。
 ただ、必ずしも問題はそこではなく、投球動作の始動がどこからなのか。その解釈が大谷と球審では異なったようだ。
 試合後、まず会見に応じたネビン監督は「翔平の場合、セットの入り方が、他の投手とは少し違う」と言いながら、ジェスチャーを使って説明した。
「翔平は、こうやってボールを持った右手を伸ばし、その後、へその位置で構えているグラブに右手を入れて、セットに入る。ただ、球審の目には右手を動かした時点で、投球動作を開始したと映ったようだ」
 映像を見ると、右手が動いた段階でまだ、ローリーは構えにも入っていない。よって球審は、打者が構えに入っていない段階で、大谷が投球動作を開始したーー当然、アイコンタクトもない、と判断した。

 

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