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阪神の岡田監督は西武戦の連敗に危機感を募らせた
阪神の岡田監督は西武戦の連敗に危機感を募らせた

なぜ阪神の岡田監督は西武戦の連敗に「ズルズルいきそうな負けや。負け続けるでえ」と危機感を募らせたのか?

 阪神が1日、ベルーナドームで行われた交流戦の西武戦に2-4で敗れ、5月9、10日のヤクルト戦以来、22日ぶりの連敗となった。西武のプロ初先発、宮川哲(27)を攻めあぐみ、3併殺に8残塁と打線のつながりがなく空回りした。試合後、岡田彰布監督(65)は「このままズルズルと負け続けるでえ」と、仰天の大型連敗を予告。今季は3連敗を一度もしていないのが虎の強みで、まだ貯金は「16」もあるが、指揮官のその言葉の真意とは何なのか。

 ブレーキになったノイジーの3番剥奪も示唆

 

 西武のベルーナドームの駐車場へと続く100段以上ある長い階段を上がってきた岡田監督は、息を整えてから、虎番記者の囲み取材に応じた。
 9連勝の後の連敗。終始顔は笑っていたが、その言葉には怒りが込められていた。
「ズルズルいきそうな負けや。ただの負けじゃないよな。自分のヒットがないだけと簡単に考えとったらズルズルいってしまうよ。どのくらい、そういう危機感を持つかやろう」
 先発の伊藤が一発を含む4失点し、西武が苦しいローテーの谷間に送り出してきた4年目のドラフト1位右腕の宮川を攻略できずに拙攻を繰り返した。
 岡田監督は、日ハム出身でパ・リーグの野球を知る渡邉を「6番・DH」、ルーキーの森下を「7番・右翼」で使い、あえて右に右をぶつけた。2回に、その渡邉が先制タイムリー。森下も3点を追う7回に二塁打を放ち、一死三塁の反撃機から代打ミエセスのレフトへの犠飛と、浅いフライでタッチアップを成功させた森下の好走塁で2点差に詰め寄った。岡田監督の采配は、吉と出たが、打線がつながらず、9連勝中にあった逆転の爆発力を生み出せなかった。
 併殺が3つに残塁が8個。ブレーキとなったのは3番のノイジーと5番の佐藤だ。
 だが、岡田監督が、やり玉にあげたのは、ここ5試合で1本しかヒットのない佐藤ではなく、すべて走者を置いた場面で、4打席ノーヒットに終わったノイジーの方だった。
「佐藤?ノイジーに比べたらまだましやん」
 初回は一死一塁でカウント2-2から中野がスタートを切ったが、ノイジーはインハイのボール球に手を出して空振りの三振。中野も二塁で刺され最悪の三振ゲッツーとなった。無死一塁で迎えた3回の第2打席はライトフライ。5回二死二塁では、初球の釣り球に手を出してカウントを稼がれ、またライトフライ。8回も先頭の中野が四球を選んだが、また高めゾーンに投じられた初球の釣り球にひっかかってライトフライに終わった。
「勝手に打っとる。初球でも、くそボールばっかり。なんぼ言うてもあかん。あそこで切れてしまうから、線にならんもんな」
 おそらく「高めのボールゾーンに食らいついてくる」というデータが出ているだろう。若い捕手の柘植は、忠実に、そこに誘い球を要求してきた。こういう駆け引きは、そのボールをひとつ見逃すだけで立場は逆転するものだが、打ち気にはやるノイジーは我慢ができない。2試合連続ノーヒット。岡田監督は、ここまで49試合中45試合で「3番・ノイジー」を固定してきたが、「打てへんのなら、いつまでも使わん。他にいてるよ」と3番剥奪さえ示唆した。
 今季の阪神はまだ3連敗は一度もない。
 その最大の理由は、投手の安定感と守備力だ。今日2日からのロッテ3連戦には、前回登板で、プロ初勝利を挙げた桐敷、無傷の6連勝中の大竹、期待の才木の3人をぶつけることができる。彼らが序盤からゲームを壊すシーンは想像し辛い。会見後に岡田監督に「ズルズルいきそうな負け」という発言の真意を訊ねた。
「ズルズルいくようなことはないでしょう?」
 すると、岡田監督は、足を止めて、こう言った。
「見ててみい。明日も負けるでえ。勝てんよ、こんなんじゃ。ほんまズルズルいく」

 

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