• HOME
  • 記事
  • 五輪スポーツ
  • なぜ男子100mで”エース”サニブラウンのまさかの”最下位失速”が起きたのか…ブダペスト世界選手権出場の可能性は?
大会連覇を狙った昨年の世界選手権7位入賞のサニブラウンが9秒台どころか、まさかの最下位。スタートセットで足がつり左足が痙攣したという(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
大会連覇を狙った昨年の世界選手権7位入賞のサニブラウンが9秒台どころか、まさかの最下位。スタートセットで足がつり左足が痙攣したという(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ男子100mで”エース”サニブラウンのまさかの”最下位失速”が起きたのか…ブダペスト世界選手権出場の可能性は?

 現時点で基準ワールドランキングは〝圏外〟だが、今後レースを重ねていけば、十分に満たすことができるだろう。サニブラウンにとって一番のライバルは自分自身になりそうだ。
 日本選手権でのトラブルは、「ここ1週間ぐらいは練習を結構やっていたのと、いろいろあって、あまりケアできなかったのが一番大きいかな」と自己分析。ただ「調子自体は悪くなかった」という。
 昨年のオレゴン世界選手権は7月15~24日で、今年のブダペスト世界選手権は8月19~27日と1か月以上遅い。逆に日本選手権は昨年が6月9~12日で、今年は約1週間早かった。サニブラウンは日本選手権ではなく、世界選手権にピークを合わせるように組み立てているだけに、今後の期待値は十分にあるだろう。できることならキャリア4度目となる9秒台で参加標準記録の突破を望みたい。

 ではサニブラウン以外の選手が代表内定を得るにはどんな条件なのか。主に該当する部分を抜粋すると以下になる。
 ⑤日本選手権3位以内の成績を収めた競技者であって、参加標準記録有効期間内に参加標準記録を満たした競技者。
 ⑥基準ワールドランキングにより本大会の参加資格を得た者で、日本選手権3位以内の成績を収めた競技者。

 日本選手権で3位以内に入った坂井、柳田、小池にチャンスがある。ただし、各国の代表は3枠なので、サニブラウンの内定が決まると、3人のうち1人は代表から弾かれることになる。
 今季のパフォーマンスを考えると7月30日までに⑤の参加標準記録(10秒00)をクリアするのは現実的ではないだろう。一方で⑥の基準ワールドランキングは坂井が出場圏内におり、柳田と小池も今後の活躍次第では狙える位置につけている。特に柳田は日本選手権の予選と準決勝でも10秒19をマークし、スコアアップは確実だ。3人が⑥を満たした場合は、「日本選手権の順位」が優先されるため、小池が代表から漏れることになる。
 ブダペスト行きを巡り、日本人スプリンターの戦いは今後も続いていくが、同時進行で4×100mリレーの準備も必要になってくる。
 世界大会でメダルを獲得してきた日本代表だが、オレゴン世界選手権の予選で失格したため、まだブダペスト世界選手権の出場権をつかんでいない。そのためダイヤモンドリーグで記録を狙って出場権獲得を目指す方針だ。
 日本選手権の上位者を中心にリレーメンバーを組むことになるが、7月12~16日にはアジア選手権がある。過密スケジュールのなか、個々の体調面もあるので、どれだけのタイムを出せるのか。日本のお家芸とも呼ばれた4×100mリレーは東京五輪でも失格となった。ブダペストで復活を遂げて、パリ五輪の歓喜につなげたい。
 (文責・酒井政人/スポーツライター)

関連記事一覧