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大会連覇を狙った昨年の世界選手権7位入賞のサニブラウンが9秒台どころか、まさかの最下位。スタートセットで足がつり左足が痙攣したという(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
大会連覇を狙った昨年の世界選手権7位入賞のサニブラウンが9秒台どころか、まさかの最下位。スタートセットで足がつり左足が痙攣したという(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ男子100mで”エース”サニブラウンのまさかの”最下位失速”が起きたのか…ブダペスト世界選手権出場の可能性は?

 日本陸上選手権の最終日が4日、大阪のヤンマースタジアム長居で行われ、注目の男子100m決勝では、連覇を狙った昨年の世界陸上ファイナリスト(7位入賞)のサニブラウン・アブデル・ハキーム(24、東レ)が脚をつらせてスタートから出遅れ、最下位に終わるという波乱が起きた。優勝したのは坂井隆一郎(25、大阪ガス)でタイムは10秒11(向かい風・0.2m)、2位は自己タイの10秒13をマークした柳田大輝(19、東洋大)、3位は9秒98のタイムを持つ小池祐貴(28、住友電工)で10秒18だった。なぜサニブラウンの失速が起きたのか。

 スタートのセットで「脚がつっちゃった」

 

〝異変〟は準決勝からあったという。スタート前に左ふくらはぎにケイレンが起き、伸ばして対応。2組を10秒26(-0.6)の2着で乗り切った。
 3時間半後の決勝はスターティングブロックのセットに入ったときに「脚をつっちゃった」という。またしても左ふくらはぎがケイレンした。しかも決勝はスタートのやり直しがあり、さらにダメージが加わったようだ。
「直前のスタート練習は良かったんですけど、本番になったら急に来たんです。1回目のスタート後は、ちょっと伸ばせば大丈夫かなと思いましたが、2回目のセットでガッとつった。スタートラインに立っているので走らないわけにはいかない。そこは責任とプロとしての心構えですかね」
 サニブラウンはどうにか最後まで走り切るも、ブダペスト世界選手権の参加標準記録(10秒00)は遠かった。

 一方、波乱のレースを制した坂井もアクシデントを抱えていた。数日前から左アキレス腱に痛みが出て、準決勝の前に悪化。棄権も考えたという。しかし、「こういう状況が今後もあるかもしれない。やれるところまでやろう」とチャレンジを決意した。
「決勝はスタートからしっかり出られて、今季成長した2次加速でも伸びた。そこでしっかりリードを維持することができたので、良いレースだったかなと思います」
 武器のスタートダッシュを生かして前半でトップに立つと、そのまま逃げ切った。痛みと不安を乗り越えての初優勝に〝うれし涙〟があふれた。
 2位に入った柳田は高校2年から数えて4回目の日本選手権決勝。好スタートを切るも、坂井の前に出ることはできなかった。「絶対に優勝するという気持ちだったので悔しいです」とレース後は涙をこぼした。
 日本選手権が終わり、これでブダペスト世界選手権の選考はひとつの区切りがついたことになる。現時点で男子100mの代表内定者はゼロ。気になるのはサニブラウンの今後についてだろう。

 6月中旬にフィンランドで行われる世界陸連のコンチネンタルツアー・ゴールドに出場予定。本人は「イメージしていた走りはできなかったですけど、3本走ったのはラウンドを重ねる世界選手権に向けて良い身体作りになったのかなと思います。日本選手権は通過点なので、ここからもっともっと仕上げていければなという感じです」とブダペスト世界選手権を見つめているが、どうなるのか。
 日本陸連が1月末に発表したブダペスト世界選手権の「日本代表選手選考要項」によると、サニブラウンに該当する「内定条件」は以下になる。
 ②オレゴン世界選手権で8位以内の成績を収めた日本人最上位の競技者で、2023年1月1日から日本選手権終了日までに、ワールドランキング対象競技会において参加標準記録を満たした競技者。
 ③日本選手権以降に、ワールドランキング対象競技会において参加標準記録を満たした、または基準ワールドランキングにより参加資格を得た、オレゴン世界選手権で8位以内の成績を収めた日本人最上位の競技者。

 サニブラウンは②の条件を満たすことができなかったが、③によって、7月30日までに参加標準記録(10秒00)を突破するか、基準ワールドランキング(2022年7月31日~2023年7月30日までの上位5つのパフォーマンススコア平均)による参加資格をクリアすれば、日本代表を得られることになる。

 

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