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柔道女子78kg級の準々決勝で高山莉加が世界選手権女王のアナマリア・ワグナーに不可解な反則負け(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
柔道女子78kg級の準々決勝で高山莉加が世界選手権女王のアナマリア・ワグナーに不可解な反則負け(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

反則理由「不明」って何?柔道女子78Kg級で高山莉加がまた“不可解判定”で反則負け…五輪公式サイトは3つ目の指導理由を「Undetermined」と記す

 パリ五輪の柔道競技で、またしても日本が不可解な判定に泣かされた。1日にシャンドマルス・アリーナで行われた女子78kg級の準々決勝で、高山莉加(29、三井住友海上)が3分26秒にビデオ判定の末に3つ目の指導を受けて、世界選手権女王のアナマリア・ワグナー(28、ドイツ)に反則負けを喫した。敗者復活戦から勝ち上がったが、3位決定戦で敗れて銅メダルも獲得できなかった。五輪公式サイトで「不明」と表示された指導の理由をめぐり、X(旧ツイッター)上では大会初日からの微妙な判定を含めて、審判への批判が飛び交う事態が生じている。

 アテネ、北京五輪の金メダリストからの激励電話

 パリ五輪の公式サイト上には、異例ともいえる英語が綴られていた。
<Undetermined>
  29歳にして初めて五輪に臨んだ高山が、今年5月の世界選手権を制したワグナーに敗れた女子78kg級の準々決勝。3つ目の指導を受けた末に反則負けを喫したなかで、公式サイトでは、最後の指導の理由が「Undetermined」とあり「不明」と和訳されていた。正確には「未確定」の意味。公式サイトの運営側の不備かもしれないが、これをそのまま受けとれば、理由が「未確定」「不明」の指導で高山は、悲願の金メダルへの道を断たれたことになる。
 2回戦から登場した高山は、イリスホン・クルバンバエワ(22、ウズベキスタン)を上四方固めに抑えて開始わずか48秒で一本勝ち。快調なスタートを切ったが、続く準々決勝の開始15秒にワグナーとともに最初の指導を受けた。
 序盤から気迫を前面に押し出してくるワグナーに対して、高山はなかなか突破口を見つけられない。これが消極的な試合運びと映ったのか。2分3秒には高山が2つ目の指導を受けて、あとひとつの指導で反則負けとなる苦境に追い込まれた。
 迎えた3分26秒に、賛否両論がわかれるジャッジがくだされた。
 上背でまさるワグナーに右手で奥襟をつかまれ、頭を下げさせられた高山が必死に抜け出した直後だった。審判が試合を止め、ビデオ判定が始まった。20秒を超えるチェックが行われた末に、高山に3つ目の指導が与えられた。
 高山が首を抜いた行為が指導の対象となった。国際柔道連盟(IJF)の試合審判規定には、いわゆる「首抜き」に関して次のように記されている。
<組んでいる腕の下から相手が頭を故意に抜くことによって「標準的」でない組み方となった場合、首を抜いた試合者が直ちに攻撃を施さなければ「指導」が与えられる>
 映像を見返してみると、確かに高山は「直ちに」には攻撃を仕掛けようとしていない。それでも納得がいかなかったのだろう。悔しさと驚きが入りまじった表情を浮かべながら審判のコールを聞いた高山は、しばらくは呆然と立ち尽くしてしまう。審判に両手をそろえるように促されて、ようやく礼をして青畳から降りた。
 高山によれば、ワグナーに敗れた直後に所属する三井住友海上の監督で、アテネ、北京両五輪の70kg級を制した上野雅恵さん(45)から電話がかかってきたという。
「負けた後に監督から『まだ誰もあきらめていないし、一緒に戦っているから』と連絡をもらって、そこで一人じゃないとわかって、みんなを信じて戦おうと思いました」
 しかし、自らを奮い立たせて敗者復活戦を勝ち進んだ高山は、銅メダルがかかった3位決定戦の3分5秒に、パトリシア・サンパイオ(25、ポルトガル)に合わせ技一本で敗れてしまう。これまで五輪だけでなく、世界選手権にも無縁だった遅咲きの29歳は、5位に終わった初めての大舞台をこんな言葉で振り返っている。
「最後は銅メダルを目指して頑張りましたけど、やはりオリンピックはそんなに甘いものじゃないと思いました。それでも、支えてくださった方々には本当に感謝しています」

 

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