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レッドブルのサードドライバーからアルファタウルに電撃移籍することになったダニエル・リカルド(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブルのサードドライバーからアルファタウルに電撃移籍することになったダニエル・リカルド(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)

なぜアルファタウリは角田裕毅とコンビを組んでいたデ・フリーズを電撃解雇してレッドブルのダニエル・リカルドの起用を決めたのか…その裏舞台と真の狙いとは?

 

F1第11戦のイギリスGPが終了して、わずか2日後に衝撃的な発表があった。アルファタウリが、今年からF1に参戦していたニック・デ・フリース(28)に代わってレッドブルでサードドライバーを務めているダニエル・リカルド(34)を第12戦のハンガリーGPから起用することを発表したのだ。
 この発表が7月11日(火)に行われたのは、その日、イギリスGPが行われたシルバーストン・サーキットでF1にタイヤを単独供給しているピレリによるタイヤテストが行われていたことと関係している。そのテストにレッドブルはリカルドを参加させていたからだ。

タイヤテストに参加していたリカルド

 7月9日(日)のレース直後、このテストに参加するリカルドについて尋ねられたレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、こう語っていた。
「ピレリにとっては重要なタイヤテストだが、われわれにとってはダニエルがレッドブルのマシンに戻ってくるのを見るのは素晴らしいことだ。彼にとって、イギリスGPで優勝したばかりのマシンのステアリングを握ることは、最高のチャンスになると思う。ペースだけでなく、クルマに対する彼のフィードバックが楽しみだ」
 つまり、リカルドにとって、ピレリのタイヤテストはF1復帰への最終テストとなっていたわけだ。それは、アルファタウリのデ・フリースのパフォーマンスがあまりにも期待外れだったからだ。
 デ・フリースは、F2選手権とフォーミュラEの覇者で、昨年のイタリアGPでは体調不良で欠場したアレクサンダー・アルボンに代役としてウイリアムズから急きょ参戦し、9位入賞を果たした活躍が認められて、今年開幕戦からアルファタウリのレギュラードライバーとして参戦していた。
 しかし、ここまで10戦を終えて(イギリスGPは11戦目だが、第6戦エミリア・ロマーニャGPが雨のために中止となったため)、一度も入賞することができていない。これは20人いる今年のF1ドライバーの中で、ルーキーのローガン・サージェント(22、ウイリアムズ)とデ・フリースだけ。
 チームメートの角田裕毅(23)も初年度(2021年)に苦しんだとはいえ、10戦目までに4度入賞していた。
 現在のF1は豊富な走行データがあるため、チームにいる2人のドライバーの速さと遅さをエンジニアたちが細かく確認できる。デ・フリースには初めてのフル参戦というハンディキャップ以外にも、F1ドライバーとして必要な何かが欠如していたのだろう。解雇の噂は5月ごろから流れていた。
 ただし、ドライバーとチームには契約がある。おそらく、この時期に解雇したということは、前半11戦を終了した時点でのドライバーのパフォーマンスに関して、なんらかの条件がつけられていて、デ・フリースはその条件を上回っていなかったものと考えられる。

 

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