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CS出場権をかけた最終決戦でロッテの吉井監督(右)と楽天の石井監督(左)の采配力が明暗を分けた(資料写真・黒田史夫)
CS出場権をかけた最終決戦でロッテの吉井監督(右)と楽天の石井監督(左)の采配力が明暗を分けた(資料写真・黒田史夫)

「批判を浴びても仕方がない楽天の石井采配」…ロッテが2位をゲットした最終決戦の明暗を分けたものは何だったのか?

 パ・リーグの野球に詳しい元阪神、ダイエー(ソフトバンク)、ヤクルトの評論家、池田親興氏は、こう分析した。
「楽天は得点圏に進めてプレッシャーをかけることができなかった。細かいことはせずに集中打で圧倒するのが、石井監督のやってきた野球。大一番でベンチが動かずに結果が出なかったのだから批判を浴びても仕方がない。最大13の借金からここまで盛り返した楽天の戦いは素晴らしかったが、最後の最後にロッテと楽天の目指してきた野球の違いが出てしまったように感じた」
 対照的にロッテはベンチが動き1点をもぎとる野球をやった。
 2回一死から山口の三塁を襲う強烈な打球が、小深田の足元を抜けていく二塁打になった。記録はヒットだが、足が動いていなかった小深田のエラーだ。せめて体に当てて止めなければならなかった。続く岡は、則本のストレートに完全に押し込まれた。だが、そのドンづまりの打球が、ライト、ファースト、セカンド間の魔のトライアングルに落ちるラッキーな先制タイムリーとなった。
「緊迫した一発勝負では先制点がカギを握る。ロッテが先手をとったのが大きかった。しかもミス絡み。どちらも緊張からか固かったが、こういう試合では致命的なミスをした方が負けるというのもセオリー」とは、池田氏の解説。
 4回二死から安田の「切れるかと思った」という逆方向への打球がレフトポールを直撃するラッキーな9号ソロとなって追加点をあげ、7回には一死一塁から佐藤都にバントで送らせた。楽天とは、対照的なベンチワーク。二死一、三塁となってから、荻野の打球が2番手・宋家豪の足元を襲い、三塁前にはねかえるタイムリー内野安打となった。8回にも代走・和田の足を絡めて佐藤都の二塁打でダメ押しの2点を追加した。
 楽天ベンチは二死満塁となり、もうアップアップだった3番手のルーキー渡辺翔を左打者の佐藤都を迎えたところでも続投させた。ここは、左投手を送り、盤石の継投策を講じるべきだっただろう。0-5から9回に守護神の松井を投入するのであれば、回跨ぎの選択があってもよかった。
 対するロッテベンチは、キャッチャー佐藤都の所作から想像するに丁寧に配球のサインを送ってコントロールしていたようだ。
 4回には二死三塁から、太田を追い込み2球続けて低めの変化球を見せてフルカウントにしてから最後はインコースに143キロのクロスファイアーでスイングアウト。小島はガッツポーズをしたが、ベンチと一体になって、相手の読みの裏をかいての危機脱出だった。
 小島が7回を無失点。8回はヤクルトから移籍してきた左腕の坂本、9回は発熱から復帰してきた守護神の益田が締めての完封リレー。
 報道によると吉井監督は、「今日は小島が本当にしっかりとエースらしい投球をしてくれた。ただただ選手たちが頑張って、よく2位になったなと思っています」とコメントした。
 吉井監督は就任1年目で石井監督はGMから監督になって3年目。ヤクルト時代に野村ID野球の薫陶を受けていたはずの石井監督だったが、大一番で競り勝つチームを作り上げることはできなかった。沈黙した打線と同じく、その采配も硬直化してしまっていた。浅村、鈴木大地らのFA補強を続けながらも、3位、4位、4位の成績では、もう指揮官としての限界だろう。ロッテは14日から本拠地でソフトバンクとのCSファーストステージに臨む。

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