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CS出場権をかけた最終決戦でロッテの吉井監督(右)と楽天の石井監督(左)の采配力が明暗を分けた(資料写真・黒田史夫)
CS出場権をかけた最終決戦でロッテの吉井監督(右)と楽天の石井監督(左)の采配力が明暗を分けた(資料写真・黒田史夫)

「批判を浴びても仕方がない楽天の石井采配」…ロッテが2位をゲットした最終決戦の明暗を分けたものは何だったのか?

 CS出場権をかけた楽天―ロッテの最終決戦が10日、仙台の楽天モバイルパーク宮城で行われ、ロッテが5-0で勝利した。ロッテはソフトバンクを勝率1毛差で上回り、最終的に2位でフィニッシュ。CSの本拠地開催権を手にした。楽天とロッテの勝敗を分けたポイントは何だったのか。大一番で見えたのは就任3年目となる石井一久監督(50)の指揮官としての能力の限界だった。

 楽天は5度の無死一塁チャンスでベンチが動いたのは一度だけ

 

 最後の“元中日”阿部のハーフスイングがストライクと判定された。完封リレーで勝利したロッテの歓喜の輪が、マウンド上で生まれ、楽天のベンチでは、先発の則本が口元に手を当てて目に涙をため、石井監督は腕組みをしたまま動かなかった。
 雨天順延の平日のゲーム。しかも試合開始が30分遅れるほどの悪天候にもかかわらずスタジアムは超満員2万5630人のファンで埋まっていた。ロッテの選手がライトスタンドに挨拶に向かい、整列すると、楽天のファンからも温かい祝福の拍手が送られた。それが東北の人たちの素晴らしい矜持だった。
 最終決戦に敗れた石井監督は神妙な顔つきで挨拶に立った。
「みなさんをCSにお連れすることができず、申し訳ありませんでした。本当に負けて凄く悔しい思いです。選手もそうです。この一戦の悔しさを胸に、また来年、選手は一生懸命、悔しさを晴らすためにやっていきますので、みなさん、声援をよろしくお願いします」
 ロッテと楽天の“野球の違い”が如実にコントラストを分けた。
 楽天は初回の一死満塁の先制機を逃し、5度もあった無死一塁のチャンスを得点に結びつけることができなかった。
 ロッテ先発の小島は立ち上がりからスライダーが高めに浮き、決して調子はよくはなかった。1回一死一、二塁から浅村の平凡なセカンドライナーを中村奨がグラブに当てて後逸。楽天は、一死満塁の先制機をつかんだ。だが、5番の岡島は甘いスライダーを2球続けてファウルにしてしまい、最後はカットボールに腰を引いて6-4-3の併殺打に倒れた。
 とにかく楽天はベンチが動かなかった。
 2回、先頭の阿部が中前打で出塁したが、ベンチは動かず、続く辰己が左飛、太田が三振で走者を進めることはできず、小郷も中飛。3回には、絶妙のセーフティバントで出塁した小深田を村林がバントで送ったが、島内、浅村が凡退。2点を追う5回も、無死一塁から小深田にノーサインで打たせてショートフライ。進塁打を意識しすぎて外角のカットボールを強引に引っ張った結果だった。続く村林もインコースのスライダーを打たされてのセカンド併殺打。彼も、また逆方向を意識しすぎていた。それをロッテバッテリーの手玉に取られた。打線が硬直化していたのだから、村林には、なんらかの仕掛けが必要だった。「選手任せの野球」がはまらなければこうなるという典型的な展開だった。
 続く6回も先頭の島内が中前打で出た。ここは4番に任す場面。浅村は粘ったが、最後はチェンジアップを打ってレフトフライ。小島は、左打者にはスライダー、右打者にはチェンジアップを有効的に使い、タイミングを外していた。浅村は、チェンジアップを頭に入れ、逆方向を狙うべきだった。そして続く岡島は、スライダーを仕留めることができず、この日、2つ目のダブルプレー。完全にブレーキとなっていた。岡島は、3打席立って修正、対応ができなかった。狙い球の指示の徹底を含めたベンチの手助けが不足していたように映る。

 

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