
「井上尚弥のフェザー級挑戦は厳しい」「パウンド・フォー・パウンドで1位のウシクを超えるとは思わない」元5階級制覇王者のドネアがダウンを喫したモンスターに2つの苦言
ドネアが危惧するのは体格差だ。
井上の次戦は9月14日に名古屋でWBA世界同級暫定王者、アフマダリエフとの防衛戦になるが、それをクリアすると12月に3年30億円のスポンサー契約を結んだ「リヤドシーズン」の本拠地であるサウジアラビアで1階級上のWBA世界フェザー級王者、ボールに挑むプランが進行している。井上には他のフェザー級王者からの挑戦状も次から次へと舞い込んでおり、セミファイナルで7回TKO勝利による防衛に成功したWBO世界同級王者のラファエル・エスピノサ(メキシコ)も「井上との対戦が目標だ」とリング上で明言した。
カルデナスはフィジカルを生かし、ガードを固めて前に出て、距離を詰めて攻撃の手を緩めず打ち終わりを狙うという戦術を徹底してきた。フェザー級でさらにフィジカルの強い相手にこの戦術を徹底されれば、井上がまだ苦戦する可能性は十分に考えられる。ドネアが警告するのもその部分だろう。
またドネアは、米老舗「リング誌」が現在2位としている井上のパウンド・フォー・パウンドランキングについても厳しい持論を展開させた。「ボクシング・シーン」が、「井上はテレンス・クロフォード(2階級4団体統一王者で現WBA世界ス―パ―ウエルター級王者)やオレクサンドル・ウシク(ヘビー級3団体統一王者)らと世界最高の現役ファイターの座を争ってきた。だが、カルデナス戦での彼のパフォーマンスは、3人の中で最も欠点が多いことを再認識させるものだった」との見解を伝えると、ドネアも「そうだね」と同調した。
「スティーブ・フルトン、僕、ルイス・ネリはいいファイターだ。でもウシクがやったように、この階級の強豪を倒してこの階級を占拠し、また上位に進出するようなことはない。ウシクの場合、階級内のすべての選手を倒している。ウシクや “バド(クロフォード)”の戦績を考えると、彼(井上)は間違いなくそこ(ランキング上位)にいるけど彼らを超えるとは思わない」
現在1位のウシクと比べると井上の対戦相手に問題があると指摘した。でもこれは井上の問題でもプロモーターの問題でもない。この時代のこの階級にたまたまモンスターに肩を並べる強力なライバルがいなかっただけである。
ただ「彼は(9月のアフマダリエフ戦で)それ(パウンド・フォー・パウンド1位)を目指すべきだ」とドネアは提言した。
「彼はよく戦ったが、他の誰もが何かに引っかかるのと同じように何かに引っかかった。しかし、それは彼にとって良い戦いだった。彼が“MJ”に対して最高のパフォーマンスを発揮することを、おとしめたり、何かを奪ったりしてはならないんだ」
9月14日のアフマダリエフでは井上の真価が問われることになる。