
なぜ36歳の井岡一翔はダウンを奪い、試合後にインタビュー打ち切りの寒気を与えた王者にリベンジを果たせなかったのか…「引退する気持ちはない」現役続行を宣言した理由とは?
バンタム級に上げての5階級制覇については「バンタムでやろうともまったく考えられない」と結論を保留した。
バンタム級王者は日本人が独占していてマッチメイクとしては魅力的だが階級の壁が問題になる。
内山氏も井岡に今後について「マルティネス以外の王者に挑みまだチャンプを取れる力はある。限界は感じない。この(マルティネスとの)試合なら3回見てもいい。バンタムもいいかもしれないが、パンチがバンタムになるときつくなってくる、ポイントアウトならいいが…」との意見を明かした。
だが、井岡は歩みを止めるつもりはない。
「一番は自分ばどうしたいか、どう生きたいか。その中で何か意味をなせる、与えられるものが必要。これからの次世代のボクサーだったり、次世代を生きる方への何かのメッセージを届けるという強い思いでやっている。ここから僕がどう選択するかが影響を与えると思う。ボクシングをするにしろ、しないにしろ、どう戦っていくかいうことだけは、(2人の)息子たちにも見せていかねばならない。それが重要かなと」
アマ9冠の堤麗斗がメキシコの記念日「シンコ・デ・マヨ」ウィークにニューヨークのタイムズスクエアの特設会場で異例のデビューを飾り、この日のアンダーカードでは、プロ3戦目の吉良大弥が世界ランカーに3-0判定勝利し、WBA世界スーパーフェザー級4位の堤駿斗が圧巻の3ラウンドTKOでパナマの刺客を沈めた。
井岡のスパーリングパートナーを務めた吉良がこんな話をしていた。
「めちゃ勉強になりました。ボクサーは調子に波があるんですけど井岡さんにはない。いつも一緒。ジャブ、コンビネーション、基本パンチ以外にも、凄いものがたくさんあるんです。パンチも当たらず気がついたらじり貧になっている」
まだ井岡には、志成ジムの世界王者予備軍たちにその背中で伝えねばならない使命が残っている。(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)