
「まだ5戦目だよ」レッドブル角田裕毅が今日“第2の故郷”で開幕するエミリア・ロマーニャGPを前に“批判の声”へ反論…「フェルスタッペンに少しでも近づきたい」との意気込みも
F1の今季第7戦となるエミリア・ロマーニャGPが今日16日、イタリアのイモラ・サーキットで開幕する。レッドブルへ緊急昇格して5戦目となる角田裕毅(25)にとって、昨秋まで住んでいた第2の故郷。ここまで最高位が9位で、批判的な声もあるが15日に行われたチームのプレビューイベントで「まだ5戦だよ」と扱いが難しい今季のマシンRB21への適応に時間がかかると反論し、課題とされている5年連続のドライバーズ選手権優勝を狙うエースのマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)との“格差問題”についても「少しでも近づきたい」と意識するコメントを残した。
「メディアのみなさんもピザやパスタを楽しんで」
角田の闘志が高まってきた。
エミリア・ロマーニャGPの開幕前日にイモラ・サーキットで開催されたレッドブルのプレビューイベント。F1公式サイトやオランダのF1専門メディア『GP BLOG』によると、イタリアからモナコ、そしてスペインと続くヨーロッパを舞台にした3連戦へ向けて角田はこう意欲を口にした。
「今週からヨーロッパに戻り、レースを戦える状況を楽しみにしています。特にイタリアは長年にわたって僕が故郷と呼んできた場所であり、今シーズンも過密スケジュールが組まれているなかで、ここで過ごせる時間をとても大切に思っています」
2021シーズンからアルファタウリ(現レーシングブルズ)でF1に参戦した角田は、チームが拠点を置くエミリア=ロマーニャ州のファエンツァに居住。昨年11月にミラノへ移ったものの、いまも深い愛着を抱く場所でのレースへ自然と口調も弾んでくる。イタリアを象徴する言葉を使いながら、角田はこう続けた。
「今週末は(メディアの)みなさんにも美味しいピザやパスタを楽しんでもらって僕たちチームのエネルギーになればうれしいです」
レッドブルへの緊急昇格が正式に発表されたのは3月27日だった。直前に行われた今季第2戦の中国GPのスプリントで6位に入賞。3ポイントを獲得して、気持ちも新たに母国で開催される日本GPへ臨もうとしていた矢先だった。
以来、4年連続でドライバーズチャンピオンを獲得している王者、フェルスタッペンに次ぐセカンドドライバーとして4戦を終えた。
注目された日本GPは12位だったが、続くバーレーンGPでは9位に入賞。サウジアラビアGPでは1周目でクラッシュして無念のリタイアを余儀なくされたが、直近のマイアミGPではスプリントで再び6位に入賞。決勝では5秒のタイムペナルティーを科されながら、10位に入賞する粘りを見せた。
レッドブルで獲得した6ポイントを加えて、合計で9ポイントとしたドライバーランキングで角田は11位につけている。それでも日本GPで優勝するなど、3位につけるフェルスタッペンは99ポイントを獲得している。強豪の一角を占めるレッドブルのセカンドドライバーだからこそ、現状は決してポジティブな評価を受けていない。
たとえば英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』は、マイアミGPに出場した20人のドライバーのなかで、角田に対して17位と厳しい評価を下した。10位に入賞してもフェルスタッペンと明らかな差があると指摘した同メディアは、角田に対して次のようなコメントを残している。
「ツノダのペースは、フェルスタッペンと比べて大きな失望を与えるものだった」
さらにレッドブルのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮、ヘルムート・マルコ氏(82)は角田の潜在能力を認めながら、決勝のグリッドを決める公式予選3回目(Q3)でタイムを伸ばせない角田に対して苦言を呈している。
「残念ながらプレッシャーが増すと彼はまだミスを犯してしまう」
自身へ向けられる視線の意味を、誰よりも角田自身が理解している。
「鈴鹿から新しいマシンに乗り込んでまだ5戦目だよ」
そう反論した。
「僕のターゲットは、結果ももちろんだけど、とにかく自分のマシンを100パーセント理解したい。ゆっくりとペースを上げて自信をつけてきたなかで、現状に対してはかなり満足しています。いまは自分がやっていることを続けるだけ。今週末はマシンがどのように振る舞うのかを見極めながら、少しでもマックス(フェルスタッペン)に近づいてチームを助けたい」
エース、フェルスタッペンとの“格差問題”ついても言及した。