
井上尚弥の元スパー相手に判定勝利のグッドマンが「ローン地獄でドッグフードまで食べた」と涙の衝撃告白…「彼が逃げているとは言わないが」IBF&WBOの暫定世界王座を狙う計画も
プロボクシングのスーパーバンタム級IBF1位&WBO2位のサム・グッドマン(26、豪州)が14日、豪州シドニーでセザール・バカ・エスピノーザ(23、メキシコ)とノンタイトルフェザー級10回戦で対戦して3-0判定で勝利した。井上尚弥(32、大橋)への挑戦を左目上のカットで2度キャンセル。新居を購入していたグッドマンはローンの返済で「地獄の」金欠に陥り愛犬のドッグフードで食いつないだという。モンスターの元スパー相手を下したグッドマンは「井上に挑戦したい」と表明。陣営はIBFとWBOの暫定王座を狙う方針を明かしたが、この試合でまた目の上をカットしたグッドマンと井上が戦う可能性は低いだろう。
「井上に挑戦したい。チャンスが欲しい」
失意のグッドマンが復帰戦を飾った。
相手は井上が2023年にスティーブン・フルトン(米国)のWBC&WBO世界スーパーバンタム級王座に挑戦する際に2度スパーリングパートナーとして呼んでいた元WBCユース・スーパーバンタム級シルバー王者のエスピノーザ。ちなみに彼は井上に心酔してその名前をタトゥーにして彫り込んでいる右構えのファイターである。
グッドマンは、序盤はジャブから組み立て、3回に反撃を食らったものの、4回に左のボディストレート、5回には右ストレートを数発ヒットさせて主導権を握った。
「彼は序盤に僕の強さを感じとっていたと思う。6ラウンドまで触れられてもいない」
だが、8回にアクシデントが起きる。足を滑らせてバランスを崩しスリップダウンする瞬間にパンチを浴びて左目の下をカット。さらに9回にも偶然のバッティングで今度は、右目の上をパックリと切り裂かれてしまったのだ。
「8ラウンドにペースをあげようとしたとき、足が滑ってそこにパンチをもらい、目が腫れ始めた。次のラウンドで、また頭が当たった。またかよ、また始まったのかよ、と思った。目をカットし離れてボクシングをせざるを得なくなった。だが、私は残り3ラウンドもコントロールできていることを感じていた」
グッドマンは、無難に最終回をこなして試合終了のゴング。ジャッジの一人が100-90とフルマークをつけ、残りの2人も、99-92、99-91とした3-0判定勝利で、プロデビューからの連勝を「20」(8KO)に伸ばした。
グッドマンは、昨年12月24日にIBF&WBOの2団体の指名挑戦者として井上に挑むはずだったが、来日直前のスパーで左目上をカットして今年1月24日に延期となった。だが、またしても試合直前に同じ場所をカット。井上陣営があきれるほどの馬鹿げた不注意で再びキャンセルし、井上は、代役のキム・イェジュン(韓国)と対戦して4回KO勝利した。
地元局「ABCニュース」が伝えた試合後の囲み取材で、グッドマンは、「この夜は、勢いを取り戻すことがテーマだった。言うのも飽きたが、この6か月、ほんとに辛い目にあったんだ。クソで、経済的にむちゃくちゃ残酷な目にあったんだ」と語り、涙を流した。
井上戦のファイトマネーは100万ドル(約1億4500万円)。それをあてにして新居を購入したが、試合のキャンセルでローンに追われることになった。
「あなた(質問者)を笑わせるよ。私は愛犬のドッグフードを奪ってお腹を満たさねばならなかったんだ。住宅ローンに苦しみ、地獄だったよ。周りの人達に頼らざるを得なかった。それがなければ私はもうダメだった。家族にもとても大きなストレスをかけてしまった」
そして幻に終わった井上戦についてこう訴えた。
「井上に挑戦したい。チャンスが欲しい。井上が逃げているとか、そういうことを言っているわけではない」