
力石政法が異例のトレーナー分業制で5.28横浜の世界戦へ挑む…ヒントはプロ野球…「負けたら引退」を「訂正した」理由とは?
兄の矢吹正道が3月29日にIBF世界ライトフライ級王座を保持したまま、IBF世界フライ級王者のアンヘル・アヤラ(メキシコ)に挑み最終回にTKO勝利し、日本人初の2階級同時制覇を成し遂げた。力石はそのセコンドについていた。
「より世界チャンプにならないと、という使命感が生まれた。なるんだじゃなく、ならなければいけない、という義務みたいなもの」
そのリング上でマイクを向けられ「自分は1ラウンド、1分で倒す」と宣言した。
「いやいやジョークです。倒せるわけないじゃないですか」
その宣言も撤回したが、兄の姿を見て兄弟同時世界王者の夢への思いがより強くなった。
本名は佐藤。ファンに覚えてもらいたいと、伝説のボクシング漫画「あしたのジョー」の主人公の名を拝借して兄は矢吹、弟は力石とリングネームをつけた。漫画の中では、矢吹丈も力石徹も世界王者にはなれなかった。
「兄ちゃんが世界チャンピオンになっているんで漫画を超えてきた。僕も超えて、いつか、ちばてつやさんとコラボできたら」
世界王者になって「あしたのジョー」の作者であるちばてつや氏との共演を果たしたいとの願望を口にした。
「勝てばなんでもいいという考え。ただ僕が見えている勝ち方は向こうが倒れています」
スーパーフェザー級は、1960年代から1970年代の初頭にかけて沼田義明、小林弘、柴田国明らの名王者が君臨した階級だった。その後、畑山隆則や内山高志というKOパンチャーが誕生したが、2016年に内山が陥落して以降、この階級で王者となったのは、2018年のWBO王者、伊藤雅雪、2021年のIBF王者、尾川堅一(帝拳)の2人だけ。しかも2人共に短期政権に終わっている。
現在は、8月にライト級でガーボンタ・デービス(米国)との再戦が決まったWBA世界同級王者のラモント・ローチ(米国)や、先日“疑惑の判定”で防衛に成功した人気のあるWBO世界同級王者のエマヌエル・ナバレッテ(メキシコ)らがいて、世界的な層が厚く簡単に世界戦が実現できない階級となっている。それだけに力石が、王座奪取に成功すれば、新たなる歴史のスタートとなる快挙。
大橋会長も「これからのボクシング界にとって、中量級から重量級の活躍が人気の起爆剤になる」と期待を寄せている。