国際自動車連盟(FIA)の会長がレッドブル角田裕毅のSNS上での誹謗中傷被害に緊急声明(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)
国際自動車連盟(FIA)の会長がレッドブル角田裕毅のSNS上での誹謗中傷被害に緊急声明(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)

一体何があった?「声をあげてくれた」角田裕毅のSNSでの人種差別被害問題にF1を統括するFIA会長が緊急声明

 F1を統括する国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ビン・スライエム会長(63)が20日、レッドブルの角田裕毅(25)がSNS上で誹謗中傷を受けた件で「誰一人として誹謗中傷や差別、脅迫を受けるべきではない」との緊急声明を発表した。角田は16日のエミリア・ロマーニャGP初日のフリー走行1回目(FP1)で、走路を妨害したアルピーヌのフランコ・コラピント(21)に激怒。その際に手を振りあげた行為がコラピントの母国アルゼンチンの熱狂的なファンの標的となり、人種差別発言などが大量に投稿される騒動に発展していた。

 「間違ったことを言ったわけでも、汚い言葉を浴びせたわけでもない」

 角田が見せた毅然とした態度がF1の統括団体を動かした。
 FIAのスライエム会長が、20日に自身のインスタグラムを更新。角田の写真を投稿するとともに、エミリア・ロマーニャGPで起こった件に対して「誰一人として誹謗中傷や差別、脅迫を受けるべきではない」とする緊急声明を発表した。
 アラブ首長国連邦(UAE)出身の同会長は、声明のなかでこう語った。
「私たちがモータースポーツに抱く情熱と興奮は、私たちをひとつに結びつけるべきものであり、決して罵倒や憎悪に歪められてはならない。モータースポーツ界で深刻化している、ネット上での誹謗中傷問題に対して声を上げてくれたツノダ選手とコラピント選手に感謝するとともに、私は彼らを全面的に支持する。私たちのコミュニティーには、誹謗中傷や悪意が存在する場所はない。私たちは中傷に反対するキャンペーンを通じて、意識の向上や支援の提供、そして変化の推進といった断固たる行動を取り、このスポーツに関わるすべての人々の幸福を守ることに全力を尽くしていく」
 角田が誹謗中傷される事態に至ったきっかけは、16日に初日を迎えた今季第7戦、エミリア・ロマーニャGPのFP1で起きた。オランダのモータースポーツ専門メディアの『RacingNews365』は、次のように伝えている。
「コラピントに走路を妨害される形になったツノダが激怒。その際にコックピットから身振り手振りで抗議した姿が、中指を立てているように映った。直後からツノダのインスタグラムは、吐き気を催すようなスペイン語のコメントであふれ返った。コラピントのファンが、ツノダのソーシャルネットワークに目を向けたからだ」
 同メディアは角田のコメントも伝えている。
「何度もトラフィックに遭遇すれば、当然ながらイライラする。特にあの場面では、僕には何かを言う権利があった。もちろん間違ったことを言ったわけでも、汚い言葉を浴びせたわけでもない。ただ単にフラストレーションをぶちまけただけだ」
イモラ・サーキットは、トラフィック(渋滞)が頻繁に発生するコースとして知られる。FP1を通じてトラフィックに遭遇し、なかなかタイムを伸ばせなかった角田は、コラピントに妨害されたと思った瞬間にイライラが頂点に達したという。

 

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