
一体何があった?「声をあげてくれた」角田裕毅のSNSでの人種差別被害問題にF1を統括するFIA会長が緊急声明
アルピーヌのリザーブドライバーとして今季スタートしたコラピントは、不振のジャック・ドゥーハン(22、豪州)に代わって、エミリア・ロマーニャGPから5戦限定でシートを獲得していた。母国アルゼンチンのファンの一部は、熱狂的で、今季はドゥーハンに対しても誹謗中傷を浴びせていた。
こうした経緯を知っていた角田は、さらにこう続けている。
「自国アルゼンチンのドライバーを、彼らが支持したいのはよくわかる。しかし、ジャック(・ドゥーハン)の件を見てもわかるように、何を言うにしても常に一線を越える。彼らが強力なエネルギーをもっているからこそ、正しい方法で使えるように、しっかりとコントロールしてほしい。僕への攻撃ももちろん不必要なものだ。もしこの状態が続き、さらに悪化していくのであれば、どこかの時点でFIAは声明を出すべきだと思う」
おびただしい数の人種差別発言を含めた誹謗中傷に対して角田は無視するのではなく毅然とした態度を示した。角田の姿勢に後押しされるように、FIAのスライエム会長も緊急声明を発表。誹謗中傷問題に対して、断固たる姿勢で臨むと明言した。
実は一部のファンの暴走にコラピントも頭を悩ませていた。
英国のモータースポーツ専門メディア『THE RACE』によると、コラピントは「チームとのミスコミュニケーションもあり、ツノダを含めて、初日に関してはかなりの数のマシンをブロックしてしまった」と反省。その上でファンに対して自制や改善をこう呼びかけている。
「母国アルゼンチンのファン、そしてラテンアメリカのファンはとても情熱的で、身近に感じるアスリートをサポートするのが大好きなのは僕としても心強い。それでも僕がグリッド上にいるすべてのドライバーに対して、敬意を払おうとしているのを忘れないでほしい。同じことをファンの方々にもしてほしい」
アルピーヌもまた公式サイトを通じて声明を発表している。
「チームとしてネット上での誹謗中傷は絶対に容認できない。超人的なアスリートたちの向こう側には、家族、友人、そして愛する人たちをはじめとする、感情を持つ人間がいることをどうか忘れずに、敬意ある行動を取ってほしい」
最後尾の20番手扱いとなるピットレーンからスタートしたエミリア・ロマーニャGPで、10位に入賞した角田は決勝後に自身のインスタグラムを更新。ピットレーンスタートの原因となった、17日の公式予選1回目(Q1)での衝撃的なクラッシュをあらためて謝罪した。
「今日の車の準備をしてくれた、チームのメカニックたちに大いに感謝!」
コメント欄には「アルゼンチンにもあなたのファンは多い。しかし、残念ながら一部はそうではない」などとするスペイン語のコメントが投稿されている。
角田の次戦は23日開幕のモナコGP。この問題が収束に向かえばいいのだが…。