
「井上尚弥に階級の壁なんかない」“名参謀”真吾トレーナーが語るモンスターの“未来”と引退問題…「今から中谷選手の試合をイメージしてどうするんですか?」
アフマダリエフ、ボールと、2人の難敵をクリアすれば、来年5月には、評価が急上昇中で、リング誌のパウンド・フォー・パウンドランキングで7位となっている中谷とのスーパーマッチが控える。中谷とは弟で元WBA世界バンタム級王者の拓真がスパーリングをしたことはあり、真吾トレーナーも目の前でそれを見守ったが、井上尚弥とは、一度も拳を交えたことはない。
井上は、3月31日の年間表彰式で、突然、「1年後、東京ドームで、日本ボクシングを盛り上げよう」と、中谷に対戦を呼びかけた。
真吾トレーナーは「息子さんが凄いことを言ったでしょう(笑)。ビックリしました」と言う。だが、そのスーパーマッチについては多くを語らなかった。
「順番が決まっているなら、1戦1戦クリアして、そこに辿りつかないとダメということでしょう。今から中谷選手との試合をイメージしてどうするんですか。まずは9月のアフマダリエフ戦です」
名参謀は足元だけを見ている。
最後に。
真吾トレーナーは、井上のプロ転向の際、「30歳で引退」との約束を息子と交わしていた。だが、それがバンタム級王座を獲得した頃から「35歳」まで延長。32歳となった今なお、パウンド・フォー・パウンドのトップ戦線に君臨し、33歳となる2026年に中谷とのビッグマッチまで計画されている。
井上は、最近「リング誌」のインタビューに答え「あと3年ほど。今年を含めてです」と、34歳となる2027年限りでの引退を口にしている。
真吾トレーナーは「あと3年ですか。どうしたらいいんですかね(笑)。やっぱり今回のダウンもそう。スパーでも少なからずパンチをもらうしダメージも蓄積する。親としては、無敗のまま、3度目のダウンをすることなく引退して欲しいですよ。それがカッコいいじゃないですか」との本音を漏らした。
それが親心でありトレーナーとしての願いなのである。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)