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前WBO世界バンタム級王者カシメロ(右)と赤穂(左)の注目のノンタイトル戦は無効試合の裁定がカシメロKO勝利に変更された(写真提供・ボクシングモバイル)
前WBO世界バンタム級王者カシメロ(右)と赤穂(左)の注目のノンタイトル戦は無効試合の裁定がカシメロKO勝利に変更された(写真提供・ボクシングモバイル)

なぜカシメロ対赤穂の”反則パンチ”による「無効試合」が「カシメロKO勝利」に変更されたのか…ネット上では賛否…JBCは当惑

 プロボクシングの元日本バンタム級王者でWBO世界スーパーバンタム級7位の赤穂亮(36、横浜光)と元世界3階級制覇王者のジョンリール・カシメロ(33、フィリピン)がノンタイトル10回戦(3日、韓国・仁川)で戦った試合が、無効試合からカシメロの2回2分25秒KO勝ちに変更されたことが21日、KBM(韓国ボクシングコミッション)が発表し、この興行を主催したトレジャー・ボクシング・プロモーションがツイッターにて報告した。この試合は、カシメロのラビットパンチ(後頭部へのパンチ)を受けた赤穂のダメージがひどく、試合続行不能と判断されてKBMのローカルルールにより無効試合となっていたが、その後、裁定を巡って物議を呼び、赤穂自身がユーチューブでアゴの骨折を明かし「(後頭部以外の)パンチを効かされている。KO負けと言われればそれまで」と発言して波紋を広げていた。興行に協力したJBC(日本ボクシングコミッション)は、KBMからの異例の裁定変更の通達に当惑している。

 後頭部へのパンチ以外のパンチでダメージを受けていた

 

異例の展開だ。
 韓国のローカルルールにより無効試合の裁定が下された赤穂対カシメロのスーパーバンタム級のノンタイトル10回戦の公式試合記録が、試合から18日が経過してカシメロの2回KO勝利に変更された。
 すでにKBMからの報告により公式記録が変更されている「BOXREC」に掲載された説明によると、「2ラウンドで赤穂は、誤ってカシメロに後頭部を殴られ、戦闘不能となったためノーコンテスト(無効試合)となった。(その後の)精査の結果、赤穂はすでに(他のパンチで)ダメージを受けていた。赤穂の降参は後頭部へのパンチによるものではない。そのため試合結果は、ローカルコミッションのKBMによって『ノーコンテスト』から『カシメロのKO勝利』に変更された」という。
 JBC管轄の試合では、同様のケースで試合結果が変更されることはありえない。しかも、試合をさばいた染谷レフェリーが、10カウントを数えたわけではないので、変更するにしてもTKO勝利が相当だが、なぜかKBMはKO勝利に公式記録を変更した。
 今回の興行に関してはプロモーターが元WBO世界スーパーフェザー級王者の伊藤雅雪氏で、日本からのボクサー出場が多かったため、JBCがKBMに統括協力するという形を取り、染谷レフェリーやジャッジを派遣。しかも現場では、KBM側と共に映像を見直すなど試合続行不可能を決める協議にも参加していた。KBMからJBCへの裁定変更の報告があったの、21日。ローカルコミッションが決定権を持つ案件ではあるが、再検証作業にも加わっておらず、裁定変更に至る経緯や調査内容などについての説明もなく当惑しているという。

 この試合は、2ラウンドにカシメロが猛攻を仕掛けた。一度は、赤穂がカウンターでタイミングのダウンを奪うものの、火がついたカシメロが、強度を強め、赤穂をコーナーにつめて左右のフック、ボディでグロッキー寸前に追い込んだ。だが、残り45秒で頭を下げていた赤穂の後頭部にカシメロの右ストレートがひっかかるようにして当たると染谷レフェリーがカシメロに注意を与えた。すると赤穂は、突然、グローブで後頭部を抑えて、後ろを向き、ロープに両手をのせてうなだれ、ラビットパンチによるダメージを訴えたのである。
 そのままコーナーにしゃがみこんだため、染谷レフェリーは、セコンドに椅子を出させて5分間の休憩を与えたが、足がもつれるなどダメージが回復せず、ドクターの診断を仰いだ上で、KBMとJBCが協議して試合続行不能と判断。映像を確認する限り、ラビットパンチは複数回あったが、いずれも故意ではない偶発的なものだったのでカシメロの反則はとらずにKBMルールに従い無効試合の裁定が下された。同様のケース、JBCルールではドロー裁定となる。
 世界の流れとして選手の健康管理を優先させるためラビットパンチなどの反則を厳格に取る傾向にあり、足もふらついている赤穂に試合続行を命じて事故でも起これば大変な事態に発展する危険性があったため、試合ストップは妥当な判断だった、しかし、ネット上では、「日本人レフェリーでなければ、試合続行でカシメロのKO勝ちだったのでは?」、「赤穂は他のパンチでダメージを負っていたが、ラビットパンチのせいにして逃げただけ」などとレフェリングや赤穂の態度について批判の声が殺到していた。

 

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