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王者のフルトンと井上尚弥はほとんど目も合わせなかった(写真・山口裕朗)
王者のフルトンと井上尚弥はほとんど目も合わせなかった(写真・山口裕朗)

なぜフルトン陣営は井上尚弥の“拳”に「証拠がある」と“いちゃもん”をつけたのか…恐怖のパンチ力への警戒…過去にパッキャオやカネロも同じクレームをつけられた例も

 プロボクシングの元バンタム級世界4団体統一王者の井上尚弥(30、大橋)が7月25日に有明アリーナでWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者、スティーブン・フルトン(29、米国)に挑戦するビッグマッチの公式会見が22日、横浜市内のホテルで行われた。フルトン陣営のワヒード・ラヒーム・チームトレーナー(29)が井上のバンテージの巻き方に「公平に安全に行われるように」と“いちゃもん”をつけ、井上が「正々堂々と戦うのでご心配なく」とやりかえす場面があった。フルトン陣営がいかに井上のパンチ力を恐れているかを示す証拠。明日24日には前日計量及び両陣営が出席してのルールミーティングが行われるが大橋秀行会長(58)も「もうひと悶着あるかも」と王者側の出方に警戒心を強めている。

 ローカルコミッションルールで認められているのにクレーム

  フルトンへの代表質問が終わり、続いて井上へ話が向けられるタイミングで、突然、フルトンのチーフトレーナーが「聞いて欲しい話がある」と切り出した。
 スマホに書いて準備してきた声明文を読みあげる。
「WBC、WBO、JBCら関係者に聞きたい。この試合が始まる前に最も大切なことは何ですか?」
 そしてラヒームトレーナーの“いちゃもん”が始まった。
「バンテージの問題だ。フルトンは私に“気にするな、議論するな、どうせ勝つから”と言うが、そういうわけにはいかない。証拠もある。こっちも井上と同じように巻けるが、安全性はどうなるのか。この問題が解決しないとフルトンをリングに上げたくはない。まず肌に直接テープを巻くのではなく、ガーゼを巻いてから、次にテープを巻くべき。クリーンに、お互いに安全なバンテージを巻こうじゃないか」
 井上のバンテージの巻き方にクレームをつけたのである。井上のバンテージの巻き方はまず肌に直接、粘着性のテーピングを施し、次に柔らかい布製のバンテージを巻き、再度、テーピングで固定する方式。ラヒームトレーナーは、その肌に直接テーピングを巻くことが「違反行為だ」と主張したのである。
 ラヒームトレーナーが「証拠」として通訳に見せたのは、昨年6月のノニト・ドネア(フィリピン)との再戦時の発信された海外の記事やツイートだ。
 ニック・ピートという英国の記者がツイッターに「井上尚弥のテーピングについての話題が多く上がっている。このような下地のテーピングと緩衝材を入れる行為は、多くの地域や国では許可されていない。選手やトレーナーの意見が聞きたい」というツイートと共にドネア戦の控え室で、井上がバンテージを巻いている際の動画を添付していた。これはドネア陣営が撮影した映像だ。
 リツートだけでなく、英専門メディア「インツーボクシング」が「井上が論争を巻き起こす」と記事化。「テーピングを直接肌に第一層として巻くことには何の問題もない」という声と、共に元WBC世界スーパーウェルター級王者のリアム・スミス(英)の「なぜドネア陣営が問題にしなかったのか疑問。肌にテーピングを巻くのは禁止。そんなに巻くなんて聞いたことがない」という反論ツイートなどが掲載されていた。
 だが、これらの論争もフルトン陣営の指摘も完全に間違っている。
 世界戦のバンテージルールは、ローカルコミッション(JBC)のルールに沿い、それをWBCなど各認定団体が承認、ルールミーティングで両陣営の確認をとった上で決定する。当日は、相手陣営の代表者と、試合役員立ち合いのもとでバンテージが巻かれ最後に不正ができないようにサインが書かて封印される。

 

クレームをつけたフルトンのチーフトレーナー(写真・山口裕朗)

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