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重岡銀次朗は前日計量でも問題のあるコンディションには見えなかった
重岡銀次朗は前日計量でも問題のあるコンディションには見えなかった

なぜ起きた?「原因がわからない」重岡銀次朗が世界戦後に緊急開頭手術で引退へ…意識不明で集中治療室にいる予断を許さない状況にSNSでは「回復を祈る」の激励の声が殺到

 プロボクシングの前IBF世界ミニマム級王者の重岡銀次朗(25、ワタナベ)が24日に大阪住之江区のインテックス大阪で行われた世界戦後に大阪市内の病院に救急搬送され、右の急性硬膜下血腫で開頭手術を受けていたことを27日、日本ボクシングコミッション(JBC)の安河内剛本部事務局長が発表した。意識が戻らない重体で集中治療室(ICU)での経過観察中となっており、付き添っている兄で前WBC世界ミニマム級王者、優大(28、ワタナベ)ら家族が回復を待っている。なおJBCの規定により開頭手術をした重岡は、健康管理上、選手生活を続けることが許されず引退を余儀なくされることになった。

 兄の優大が「最後まで頑張れ!」と呼びかけるも応答なし

 SNSには重岡の無事を祈る激励の言葉が並んだ。
「頑張れ!」
「ただ無事の回復を祈ります」
「軽い気持ちでは言えないが助かって欲しい」
 JBCの安河内氏が27日、事務局内で重岡が緊急開頭手術を受け、今なお「麻酔で眠っている状態」で意識が戻らない状況が続いていることを発表した。
「右(脳)の急性硬膜下血腫で、経過観察中です。血腫を除去するための手術を緊急で行って、麻酔で眠っている状態。回復に期待して1週間見守っていきたい」
 手術をした大阪の病院がJBCのコミッションドクターが勤務している病院ではないため、個人情報の管理が厳しく、詳細が伝わってこないため、この日、JBCの関西事務局の職員が優大と共に医師と面談して現状を確認。その連絡を受けた安河内氏が現状を記者団に発表した。
 重岡は24日に大阪でIBF世界ミニマム級王者のペドロ・タドゥラン(フィリピン)に挑戦した。昨年7月に9回TKO負けを喫してベルトを失った相手との10か月ぶりのダイレクトリマッチ。前戦では激しい打ち合いとなり、2回に右眼窩底骨折を負い、ほぼ片方の目の視界がなくなる状況で戦った。
 その反省から、今回の再戦では、序盤はステップワークを駆使してジャブ、ボディを打っては離れるという出入りのボクシングでポイントを奪いにいく戦略に切り替えていた。だが、中盤からタドゥランの猛烈なプレスに巻き込まれ、6ラウンドには左のストレートを浴びて一瞬バランスを崩した。だが、互いにダウンシーンも決定的なクリーンヒットを浴びて、ぐらつくシーンもないまま、最終ラウンドまで戦い抜いた。重岡はその12ラウンドでもきっちりと足は動いていて異常は見られなかった。
 重岡は、最終ラウンドのゴングを聞くと、タドゥランと抱き合って、互いの健闘を称え合った。その後、コーナーに戻ると立ったまま両手をロープに置き、ずっと無言で下を向いていた。兄の優大が、自己採点の状況を説明し、「疲れたな。おまえ、よう頑張ったよ」などと声をかけるが何も答えない。
 リングの中央まで歩み出て、採点を聞き、1-2判定での敗戦を知ると、同時に目を閉じて不自然に舌を出し、頭が痛かったのかその場で何度か両手でこめかみの辺りを押さえていた。コーナーに戻ってイスに座ると目を閉じた。たちまち様子がおかしくなった。
 コミッションドクターが駆けつけて瞳孔をチェックし「口を開けられますか?」と呼びかけたが、意識が朦朧としていて反応はなかった。
 兄の優大が、「おい!銀、ちょっと返事して」と、大声で呼びかけ、「ここで(気持ちを)切らすな、切らすな。銀、銀、集中しろ。最後まで頑張れ!」と檄を飛ばしたが目を閉じたままだった。
 安河内氏もリングに上がったが「体がななめになりずっと目をつぶり喋りもしなかった」という。
 重岡は、ただちに担架で医務室へと運ばれた。途中、右手で顔を触るなどの仕草をしていたため、意識が戻ったかのようにも見えた。だが、安河内氏は「担架に乗せた時には、ほとんど意識はなかった、右手で顔をこするのは、意識してやったわけじゃないと思う」と説明した。右手や左手が無意識に動くのは、急性硬膜下血腫の典型的な症状のひとつでもあるという。

 

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