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武居由樹が衝撃の127秒TKO勝利(写真・山口裕朗)
武居由樹が衝撃の127秒TKO勝利(写真・山口裕朗)

あり得ない!3度ダウンの衝撃127秒TKO…なぜWBO王者の武居由樹はあえて那須川天心の名前を出さず「もう1本ベルトが欲しい」と発言したのか…WBA休養王者の堤は対戦を熱望

 その中で昨年12月に全治4週間の「右肩関節唇損傷」の怪我を負い、1月24日に予定されていたV2戦が延期となった。しかも、今度はモンスターの“露払い”ではなく自分がメイン。「正直プレッシャーがあった」とも言う。

 だが、右が使えない間に、ステップワークを鍛え、さらに左に磨きをかけた。武居はただでは起き上がらなかった。大橋会長は「1ラウンドからいってくれた。野性味は取り戻した」と合格点を与えた。

 八重樫トレーナーも「ここまで世界を獲るためのボクシングをしていた。比嘉戦も比嘉に対する戦いだった。今日みたいに一度効かせたら、仕留めるまで、振り回すのが、武居由樹。もうちょっと距離とかタイミングをつかんでからでも良かったが、一気に攻撃を仕掛けて落としたのは武居由樹らしかった」と認めた。

 そして、3度目となるバンタム級の試合で、計量後のリカバリーが「100%うまくいったこと」が勝因のひとつだとも説明した。武居の“勝負飯”は、3階級制覇の八重樫氏の現役時代と同じく「何も入っていない真っ白なお粥」である。

 試合の延期で対戦相手や興行的に迷惑をかけた武居は、ここまで「次を語れる立場にない」と未来図は封印してきた。次戦でメディナとの指名試合が決まっているという事情もある。だが、リング上でマイクを向けられ「もう1本くらいベルトが欲しい」と言い、4000人のファンをどっと沸かせた。

 会見でその真意を聞くと「どのベルト?全然なんでもいきます。最近、1本じゃ物足りなくなってきた、なんでもタイミングがあえば」と答えた。

 日本人が独占しているバンタム級の王者は、WBCが中谷潤人(M.T)、IBFが西田凌佑(六島)、WBAは休養王者の堤。中谷と西田は、6月8日に有明で統一戦を戦うため、そこで対象は2人に減る。そして来年5月には東京ドームで、井上と中谷のスーパーマッチが計画されていることもあり、大橋会長はマイクを取り、「(狙うもう1本が)中谷選手でないことは間違いないです」と1人を消した。

 武居は、あえて6月8日に中谷―西田のアンダーで、世界前哨戦を戦う天心の名前を出さなかった。

「天心?彼はまだチャンピオンじゃないので。別にいいかな」

 WBOのベルトの価値をアップさせた王者のプライドが見え隠れした。

 天心はその世界前哨戦をクリアすると、11月にも、中谷と西田のどちらが勝っても返上されると見られるWBC王座の決定戦に挑む方針で、武居の言う「もう1本」を手にしている可能性がある。

「それもいいですよね、まあ(世界取りを)応援しています」

 そう突き放した。

 大橋会長は「次は指名試合、それが終われば面白い対決を実現させたい」と謎多き発言をした。

 大本命はやはり天心だ。関係者の間では、来年5月の東京ドームの井上vs中谷のセミファイナルでこの統一戦を実現するとの噂が飛び交っているが、それは“フェイクニュース”で、もし武居―天心戦が実現する場合にも、まったく別の日時と場所でのスーパーマッチとして計画されるという。

 

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