
井上尚弥“完全コピー”の超ホープ現れる…アマ8冠の荒竹一真が2回TKOデビュー…フィニッシュは6年前にモンスターがロドリゲスを倒したコンビネーションで喋り方まで瓜二つ
アマ8冠の荒竹一真(22、大橋)が28日、横浜BUNTAIのダブル世界戦のアンダーカードとして行われた49キロ契約の6回戦で衝撃の2回TKO勝利デビューを飾った。相手は元WBCユース王者のキディデッチ・ヒランスク(23、タイ)。ファイトスタイルは、大橋ジム入りの理由となった尊敬するスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)の完全コピーで、フィニッシュも、井上が2019年5月に英国グラスゴーでIBF世界バンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)を2回に倒したのと、同じ左ボディから右フックのコンビネーションだった。荒竹は3年以内のミニマム級での世界王者を目指している。

横浜BUNTAIに“ミニモンスター”が出現した。ガードの位置、構えから、パンチの打ち方、ステップのタイミングまで井上尚弥の完全コピー。違うのは、井上がオーソドックスで荒竹がサウスポーであることくらい。しかも、足元のミズノ製の黒いシューズは、「シューズについて相談したときにいだいた」と、井上が履いていたもので「NAOYA」と刺繍が入っていた。
モンスターに「なりきる」のも中途半端ではない。
2ラウンドだった。距離をつめた荒竹が、左ボディから右フックの流れるようなコンビネーションブローを放つ。
「あっという間、一瞬の出来事だった」
タイ人はそのカウンターの右が見えなかったという。
尻もちをつくようにしてダウン。体をひねってうつ伏せとなったところで中村レフェリーがカウントを止めた。
荒竹は、喜びのパフォーマンスをする前に、立ち上がったヒランスクを青コーナーまでエスコートしてから、小さく一度だけグローブでガッツポーズを作った。その礼儀や対戦相手へリスペクトを忘れないところまで井上流だった。
「アマならKOするパンチがあってもなかなか倒れないが、あのパンチで倒すことができる。でも、あれをもらえば自分も倒れています」
このフィニッシュブローもどこかで見た。
試合後に荒竹が明かす。
「狙っているパンチではなかったが、得意の練習しているパンチ。井上尚弥選手がロドリゲスを倒した時の、奥の手のボディーからの前の手フックのコンビネーションです。かなりキレイに入った。いい形で決まったんじゃないかと思う」
WBSSの準決勝で井上がロドリゲスを倒したのと同じパンチだった。
控室でグータッチ。リングイン直前にもリングサイドの下にいた井上尚弥、拓真とグータッチをして「頑張れよ」と言葉をかけてもらい、「試合で勝つより嬉しかった」と最高にテンションをアップさせてリングに上がった。
1ラウンド目は「様子を見てプロを感じる」という作戦。ステップワークを駆使しながらジャブでコントロールした。ボディにもパンチを散らし、右フックも一発だけ強打。メリハリをつけた。
「グローブもアマとは違い。凄く心配でもないんですが、恐怖心もあった。グローブの厚みの違いによる距離感の違いも思ったほどなくて、しっかりとディフェンスもできた。イメージ通りだった」