
「森下翔太が後逸していなければサヨナラ走者は生還できなかった?!」なぜ阪神は49年ぶりの屈辱の5試合連続逆転負けをしたのか…楽天戦の記録に残らないミスと響く石井大智不在
それでも阪神はあきらめなかった。9回二死満塁の逆転機は、フルカウントから3球粘った森下が、最後はインハイのボール球に手を出してスイングアウトの三振に終わったが、9回に昨年オフに“戦力外”にした加治屋を攻略した。先頭の佐藤が先発全員安打となるライト前ヒット。大山が四球を選び、熊谷のバントを一塁の浅村が、三塁へ送るが、セーフとなり満塁。ここで藤川監督は、途中出場の梅野に代えて、代打糸原の勝負手を打った。3人目の捕手、榮枝を投入する勝負采配が、ズバリとはまる。糸原が同点の押し出し四球を選んだのだ。
だが、さらに一死満塁と続く、勝ち越し機に悲運が待ち受けていた。小幡がセカンドの右を襲う打球を放つが、前進守備の小深田に好捕された。小深田は、セカンドベースにカバーがいなかったことから、一瞬、間を置いてからバックホーム。フォースアウトにした捕手の石原は、迷うことなくすぐさま二塁へ送球し、スタートの遅れていた一塁走者の糸原をタッチプレーでアウトにしたのだ。小深田のバックホームが一瞬、遅れた分、一塁に送球していれば、併殺はとれなかった。ライナー性の打球に躊躇して、糸原のスタートが遅れたことを見逃さなかった石原の好判断である。
前出の評論家は、「糸原のスタートがライナーのケアで遅れたのはしょうがない。あの走塁は責めることはできない。むしろ状況をよく見ていた石原のファインプレーを称えるべき」と石原を称賛した。
楽天の好プレーで阪神は勝ち越しを阻まれ、雨が降り続く中で試合は延長戦へ突入することになり、悪夢のサヨナラ負けにつながったのである。
5連敗のうち中継ぎで失ったのが3試合、先発が崩れたのが2試合である。
交流戦前の救援防御率は、1.68だったが、交流戦の救援防御率は3.82と急降下した。ただトータルではまだ救援防御率は2.00でリーグトップはキープしている。長いシーズンの中でこういう時期は必ずくる。絶対的セットアッパーの石井が戻ってくるため、調子や相手との相性を見極めながら中継ぎをうまくはめこんでいくしかない。そして、前出の評論家が指摘した通り、重要なのは「ここ一番でのミスをいかに少なくするか」だろう。
今日15日の先発はドラフト1位のルーキー伊原。ここまで14試合に投げて5勝1敗、防御率0.99と、抜群の安定感を誇る左腕に連敗ストッパーの重責を託す。