
不可解!「なぜ3人目の世界王者が必要?」井上尚弥と2度戦ったノニト・ドネアが6.14アルゼンチンでWBA世界バンタム級暫定王座決定戦…堤聖也が休養王者でバルガスが正規王者なのになぜ?
堤が左目の手術で休養王者として認められたのが5月17日。WBAは暫定王者だったバルガスを正規王者に昇格させた。7月に横浜で元WBC世界フライ級王者の比嘉大吾(志成)がそのバルガスに挑戦することも内定した。そしてその勝者が11月にも休養王者から復帰予定の堤と王座統一戦を戦うことになっている。
なのになぜ3人目の世界王者となる暫定王者を作る必要があるのか。WBAの規定によると「正規の王者が怪我や病気、および何らかの理由で長期的に防衛戦を行えないときなどに暫定王者を設ける」とされている。だが、今回は正規王者のバルガスは、その状況にはない。WBAは、過去にも、このような興行優先の世界王者の乱発を行い、JBCは暫定王者の認定に制限を設けていた。またWBA自体も王者の1本化を宣言したばかりだったが、また同じような過ちを繰り返した。
WBCが、4年間試合をしていなかった46歳の元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)をランキング5位に復帰させ、7月19日にウエルター級の同級王者、マリオ・バリオス(米国)へ挑戦する世界戦を承認した。この試合に関しても批判が殺到したが、WBAもまた“金になる”レジェンドに大甘の方針を実行した。
一方のカンポスも世界戦に挑む資格があるか疑わしいボクサー。戦績は20戦17勝(6KO)2敗1分で2023年6月に英国でIBF世界フライ級王者のサニー・エドワーズ(英)に挑戦したが、12回判定負け。その後、再起したが、昨年10月にはメキシコでスーパーフライ級、フライ級の世界上位ランカーのホセリート・ベラスケス(メキシコ)に6回TKO負けを喫し、今年4月に地元でジムソン・ガルシア(ベネズエラ)に3回TKOで破り、今回いきなり2階級上のバンタム級で8位に入った。当初は、別のアルゼンチンボクサーがドネアの対戦相手候補だったそうだが、怪我でカンポスが抜擢されたようだ。
“デタラメ”な暫定世界戦に米のSNSではファンからの批判の声が殺到。
「このスポーツは泥沼に陥っている」「ベテランファイターたちは制御不能になりつつある。パッキャオに続き今度はドネア。残念だ。次は誰だ?ロイ・ジョーンズ・ジュニアか」「なぜバンタム級にまた別の暫定WBA王者が必要なのか」「まったくもって恥辱だ」などの厳しい意見がポストされている。
42歳のドネアの現在のコンディションや実力は不明だが、2年前の状態をキープできているのであれば、2階級下のカンポスが相手ならば暫定王者に返り咲く可能性は高いだろう。そうなると休養王者の堤、正規王者のバルガス、そのバルガスに挑む比嘉らとドネアとの対戦の可能性が出てくる。また8日に統一戦を戦う中谷、IBF王者の西田凌佑(六島)、V2に成功したばかりのWBO王者、武居由樹(28、大橋)、8日に世界前哨戦を戦う那須川天心(帝拳)ら日本人ファイターとドネアが絡んでくる可能性も出てくる。役者が揃い、それはそれで面白いのだが、いくらレジェンドとはいえ、誰もが納得して認める形で世界王者に返り咲かねば、せっかく井上尚弥が盛り上げているボクシング界の流れに水を差すことにもなりかねない。