
5回失神KOも佐々木尽(右)が王者のノーマンにパンチを浴びせたシーンもあった(写真・山口裕朗)
え?もう?ウエルター世界戦で失神KOの佐々木尽が「スピード、パワーは通用。最終的には技術の差。覚えていけば勝てる」と記憶を取り戻して再起宣言…陣営は「王者の実力を見誤った」と猛省
佐々木陣営では「ジャブストレートが通用する」と考えていた。
米国ラスベガスでは、フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)の秘蔵っ子であるカーメル・モートン(米国)、ノーマンのスパーリングパートナ―を務めたことのあるキューバのトップアマ、帰国してからは、ノーマンからのオファーを断り、英国のスター候補、コナー・ベンとの対戦を選び判定負けしたピーター・ドブソン(米国)らとトータルで150ラウンドのスパーリングを重ねてきた。
「尽のジャブストレートは当たっていたんです。スパーと試合が違うことは、百も承知ですが、1ラウンドですぐに対応されて戸惑ったんです」
対ノーマンの突破口を切り拓くはずのジャブが通用せず、戸惑っている間に、1ラウンドに左フックのカウンターで続けて2度のダウンを奪われてペースを失ってしまった。
また中屋会長は「パンチの質とレベルの違いを思い知らされた」という。
「尽が井上尚弥選手を手本にすると発言したでしょう。あれはピンポイントでパンチを当てることができている井上尚弥選手の技術を理想としていたんです。父も”刺すように打て”と口を酸っぱく教えていました。いわば正確性を求めました。でもノーマンはドスンというハンマーみたいなパンチ。パンチの質とレベルが違いすぎました」
1ラウンドにダウンを喫した一発目は後頭部、2発目はクリーンヒットしたわけでなかったが、その「ハンマー」のようなパンチに佐々木の肉体は耐えきれなかった。
佐々木は、まざまざと実力差を見せつけられたものの、「スピード、パワーは通用する」「全然、勝てるな、と思った」と語り、関係者やファンに感謝の思いを伝えた上で、再起を宣言した。
「これからもがんばっていきたい。応援お願いします」