
森保監督がゴールラッシュのインドネシア戦でテストした中で最も存在感を示したのは誰だったのか…鈴木淳之介が好守に爪痕
湘南の大先輩でもある遠藤とは面識がない。だからこそ、森保ジャパンへの合流を前にした鈴木淳は「ものすごく上の舞台で活躍している選手。いろいろと学びたいし、そのときに思いついたことを聞きたい」と初対面を心待ちにしていた。
もっとも、遠藤は「その割には、そんなに聞きには来なかったですけど」と苦笑いしながら、同じピッチで90分間共演した鈴木淳のプレーへ目を細めた。
「1対1の部分で強かったし、ビルドアップへの関わり方もよかった。もちろんもっと改善できる部分はあると思うけど、個人のパフォーマンスとしてはすごくよかった」
最終ラインとボランチでプレーできて、デュエルが強く、サイズも遠藤の178cm76kgとほぼ変わらない。愛着深い古巣・湘南の後輩で、急成長を遂げている鈴木淳へ、遠藤も「僕も同じ感覚ですね」とシンパシーを抱いていた。
「サイドバックもできると思うし、ウイングバックもできるんじゃないかなと。じゃあ最終的にどこで勝負するか、というところは、もしかしたら海外に出ていく上では大事かもしれない。そこはいろいろな悩みが、これからあるかもしれない」
爪痕は残したが、来年6月に開幕する北中米大会へ向けて、生き残っていける保証はない。それでもDF冨安健洋(26、アーセナル)に復帰のめどが立たず、DF谷口彰悟(33、シントトロイデン)はアキレス腱断裂からの復帰を目指している過程にある。
今後も3バックを継続するとすれば、どうしても最終ラインが手薄になる。新たな戦力の台頭が待たれる状況で、2度目の先発フル出場を果たした高井幸大(20、川崎フロンターレ)とともに、鈴木淳のプレーは今シリーズの大きな収穫となる。
デビュー戦の緊張から解放されたホープは、今後へこんな言葉を残している。
「このレベルでサッカーをし続けると、自分自身の成長もさらに速くなると思いますし、この舞台に帰って来られるように、Jリーグでもっと圧倒的な選手になりたい。さらに頑張らないといけない、という自覚も出てきましたし、それ以上にプレーや背中でもっと示していかないといけないと思っています」
次に見すえるのは、7月に韓国で開催されるEAFF E-1サッカー選手権。国内組だけで臨む予定の同選手権の先には、次回W杯を開催するメキシコ、米国両代表と対戦する9月の米国遠征が待つ。最終ラインへのコンバートからわずか1年あまり。シンデレラボーイの視線の先に、W杯での代表メンバー入りという新たな目標が加えられた。
(文責・藤江直人/スポーツライター)