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1月の全日本女子サッカー皇后杯で優勝した名門のINAC神戸が電撃“身売り”。なでしこジャパンが国立での北朝鮮戦に臨む2日前のタイミングに衝撃が走った(写真・西村尚己/アフロスポーツ)
1月の全日本女子サッカー皇后杯で優勝した名門のINAC神戸が電撃“身売り”。なでしこジャパンが国立での北朝鮮戦に臨む2日前のタイミングに衝撃が走った(写真・西村尚己/アフロスポーツ)

なぜ女子サッカー名門INAC神戸はなでしこJ北朝鮮戦の2日前に電撃“身売り”を発表したのか…止まらぬ観客動員減少と人気低迷

 女子サッカーWEリーグのINAC神戸レオネッサが26日に神戸市内で緊急会見を行い、クラブが発行する全株式を3月1日付で、産業廃棄物処理の大手、大栄環境(本社・神戸市)に譲渡すると発表した。WEリーグ側には、すでに承認されており、本拠地やクラブ名称に変更はなく、監督や所属選手もそのまま残る。シーズン中のWEリーグで首位に立ち、なでしこジャパンに3選手が選ばれている名門は、なぜ国立競技場での北朝鮮女子代表とのパリ五輪アジア最終予選を2日後に控えたこのタイミングで電撃的に“身売り”を発表するに至ったのか。

 「女子のクラブはつぶれるか、吸収されるしかなかったなかで引き継いでいくモデルになれば」

 

 テーマが「今後に関する記者会見」とだけ記され、クラブの公式YouTubeチャンネルで生配信された緊急会見で発表されたのは、北朝鮮女子代表とのパリ五輪アジア最終予選を戦うなでしこジャパンにGK山下杏也加(28)、FW田中美南(29)、MF北川ひかる(26)の3人が招集されているWEリーグを代表する強豪、INAC神戸の“身売り”だった。
 神戸市内で行われた記者会見に出席したINAC神戸の会長で、クラブのオーナー企業であるアスコグループ(本社・神戸市)の社長を務める文弘宣氏(73)は、INAC神戸の運営会社が発行している全株式を3月1日付で、産業廃棄物の処理やリサイクル事業などを手がける大栄環境に譲渡、同日をもって新たな経営体制が発足すると発表した。
 INAC神戸が設立された2001年4月から、アスコグループを通じて多額の資金を投入。女子サッカー界を代表する強豪クラブへ育て上げた文会長は、クラブが首位に立つWEリーグのシーズン途中でオーナーが変わる異例の事態をこう説明した。
「20年間は絶対につぶさない、という気持ちで走ってきたが、このチームをより大きな資本力のある会社に引き継いでいただいてさらに発展させたい、という考えが浮かんできた。18歳で選手になって23年間頑張って、41歳で引退するような気持ちです」
 文会長が経営権の譲渡を考え始めたのが2019年。複数の企業が手を挙げたなかで、本拠地やクラブ名称を含めて変更なしを条件に掲げ、さらにコロナ禍に見舞われた結果として正式発表のタイミングが遅れた。東証プライム市場に上場している大栄環境への譲渡を「素晴らしい出会い」と喜んだ文会長は、涙ながらにこんな言葉も紡いでいる。
「現状でも維持はできるが、それではいまのレベルを超えられない。WEリーグができて、気力、体力、財力がさらに求められる時期が必ず訪れる。女子のクラブはつぶれるか、吸収されるしかなかったなかで、引き継いでいくモデルになればと思っている」
 全3717株式の譲渡額は明らかにされていないが、他の提案のなかには大栄環境を上回る金額のオファーもあったという。しかし、条件が本拠地移転だったために破談となった。文会長が「引き継いでいくモデル」と言及した意味がここにある。

 

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