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この試合まで21試合で防御率0.45だった桐敷がまさかの4失点(資料写真)
この試合まで21試合で防御率0.45だった桐敷がまさかの4失点(資料写真)

なぜ阪神は「7回リードで負けなし」の“不敗神話”を西武に崩されたのか…防御率0点台だった桐敷拓馬が悪夢の4失点

阪神が10日、敵地のベルーナドームでの西武戦に2-4で逆転負け、連勝が4でストップした。2-0で迎えた8回に防御率0点台だった桐敷拓馬(25)が4月15日のヤクルト戦以来16試合ぶりの失点となる4失点で逆転を許した。6回無失点の才木浩人(26)の好投と、4回まで4盗塁を奪い、西武の左腕エース隅田知一郎(25)を攻略した展開を生かせなかった。なぜ30試合続いていた「7回リードで負けなし」の“不敗神話”を西武に崩されたのか。

  隅田を4盗塁で揺さぶり攻略も

 勝ちゲームだった。ここまで6勝2敗、防御率1.04の西武の左腕エースの隅田を足で攻略した。
 立ち上がりに一死二塁から近本が三盗に成功、得点にはつながらなかったが、2回にも二死一塁から梅野の打席でエンドランを仕掛けて、一、三塁とすると、「9番・三塁」でスタメン出場した熊谷がライト前へ先制タイムリー。さらに熊谷も二盗に成功した。
 3回には、佐藤が四球で歩くと大山の打席で走った。得点圏に進めて隅田を揺さぶると、二死三塁となって、ヘルナンデスが、右中間を深々と破るタイムリー二塁打。好投の才木を援護した。
 阪神は4回にも近本が2つ目の盗塁に成功している。牽制の「ある、なし」のクセも盗んでいたのだろうが、盗塁を決めた際に、隅田のクイックのタイムはすべて1.5秒台だった。投球がカーブだった時は、1.6秒に近かった。故・野村克也氏が阪神の監督時代に選手に配った「ノムラの教え」によると「クイックのタイムが1.30秒台を超えると狙える」とある。
 1.5秒は、どれだけ捕手の肩が強くとも机上論では盗塁が成功する数字。阪神の対西武のスコアラーは、昨年までバッテリーコーチを務めてた嶋田宗彦氏が担当しているが、データやクセを調べあげてきた準備のたまものだろう。
 先発の才木は、6回を無失点。6回には一死満塁のピンチを迎えるが、満塁本塁打22本の日本記録を持つ41歳の“おかわり君”を153キロのストレートでスイングアウト。続く源田もインサイドを厳しく突き、セカンドフライに打ち取った。
 球数は94球。藤川監督は7回から及川にスイッチした。6回にギアをマックスに上げたことと、ベルーナドーム特有の湿気が才木のスタミナを必要以上に奪っているとの判断だったのだろう。
 だが、8回からマウンドを任せた桐敷が誤算だった。
 いきなり西川、滝沢に連打を許した。牧野の送りバントは素晴らしいフィールディングと判断で三塁で封殺したが、続くネビンにしぶとくフォークをライトへおっつけられた。これを佐藤が回り込まずにスライディングでストップしようと試みて打球をスルー。1点差に詰め寄られ、なおも二、三塁とピンチを広げた。
 現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は、「あそこは無理をする必要はなく確実に打球を止めるべきところ。佐藤が慣れないライトの守備を任されていることのツケが出た場面。結果的に大量失点につながることになった」と指摘した。

 

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