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日本人初のウエルター級王者を狙う佐々木尽が公開練習(写真・山口裕朗)
日本人初のウエルター級王者を狙う佐々木尽が公開練習(写真・山口裕朗)

佐々木尽が日本のボクシング界の歴史を変える“世紀の番狂わせ”を起こすこれだけの理由…幸運の白蛇まで現れる

 2000年8月に鈴木悟が保住直孝(ヨネクラ)の日本ミドル級王座に挑戦して8回KO勝利した試合と、2011年12月に日本ミドル級王者の淵上誠が、世界挑戦経験のある格上の0PBF東洋太平洋同級王者の佐藤幸治(帝拳)に9回逆転TKO勝利した試合だ。
「過去はストーリーを準備してその通りになった。それを再現する。おったままげることをやれる。インスピレーションなんかをあてにしてボクシングをやっていないが、今回はそのインスピレーションが働く」
 中屋トレーナーが、その根拠として持っているのが、ここまで佐々木が拳を交えてきたスパーリングパートナーの証言だ。
 ラスベガスでは、フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)の秘蔵っ子であるカーメル・モートン(米国)、ノーマンのスパーリングパートナ―を務めたことのあるキューバのトップアマ、帰国してからは、ノーマンからのオファーを断り、英国のスター候補、コナー・ベンとの対戦を選び判定負けしたピーター・ドブソン(米国)らとトータルで150ラウンドのスパーリングを重ねてきた。スパーでは互角以上、むしろ佐々木が「先にパンチを当てている」という展開が多く、彼らは、そのパワーを絶賛。ノーマンをよく知るキューバのトップアマは「パワーはノーマンよりジンが上だ」と社交辞令抜きで証言したという。
 加えて今回の試合の使用グローブが8オンスというのも朗報だ。
 JBCは安全に考慮してウエルター級から10オンスのグローブを使用するルールに改めているが、世界はウエルター級までは、8オンスが使用され、今回の世界戦でもそのルールが適用される。
 佐々木は「8オンスなら素手に近くなる。どこに当たっても効かせられるイメージがある。できるだけ小さい方がいい」と大歓迎。ポイントを争えば、ステップワークが使え、スピードのある総合型のノーマンには遠く及ばない。勝つなら衝撃の一発KOしかなく、そのパワーをより伝えることのできる8オンスのグローブは、追い風となるのだ。
 中屋トレーナーは、「向こうもジンも1ラウンドからやりますよ」と1ラウンドの電撃勝負を示唆した。佐々木も、「相手はスピードも技術もある。スピードで勝つ練習はしていない。パワーのいい面を生かしたい」と言う。
 階級は違うが8日のバンタム級の2団体統一戦で中谷潤人(M.T)が大方の予想を裏切って1ラウンドに仕掛けた猛ラッシュも「凄く刺激になった」という。
「僕もつまらない試合はしない。ノーマンにも言いたい。“つまんない試合はやめようぜ”と。彼も盛り上げるところに意識が向いている選手。絶対に面白い試合になる」
 佐々木が言う「面白い試合」とは、やるかやられるかの殴り合いだ。その展開に持ち込むため、あえてノーマンに挑発的なコメントを残したのかもしれない。

 

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