
「オレの左は山を崩し右は竜を退治する」公開練習で衝撃与えたウエルター級王者ノーマンは中谷潤人から刺激…それでも視察した佐々木陣営は「想定内。勝負できる」と“番狂わせ”に自信
プロボクシングのWBO世界ウエルター級王者のブライアン・ノーマン・ジュニア(24、米国)が19日に大田区総合体育館で同級2位の佐々木尽(23、八王子中屋)を迎え討つ防衛戦に向けての公開練習を13日、横浜の大橋ジムで行った。ノーマンは隠すことなく全メニューを披露。「オレはクレイジー。戦いの神だ。佐々木との違いを見せる」と自負する超本物のパンチ、スピード、スキルをアピールした。視察した佐々木陣営の中屋廣隆トレーナー(71)は「すべてが凄い」としたものの「これなら勝負できる」と“番狂わせ”に自信を覗かせた。

日本の無名挑戦者を相手に隠すものなどない。
公開練習でノーマンはすべてを見せて衝撃を与えた。
最初のロープでは、途中、横に移動する珍しい動きを見せ、Tシャツを脱ぎ、腹筋が綺麗に割れたバキバキの肉体を披露すると、持参した腹筋ローラーを使って1ラウンドを通して腹筋運動。続くシャドーボクシングでは複雑なステップワークを見せつけた。
バンテージを巻いてミット打ちを2ラウンド。スピードに乗って伸びる左ジャブ、スリーからファイブまで打つ高速コンビネーション、右ストレートの強打、距離をつめてのショートのフックやアッパーまで、全部の距離で、持っているパンチをすべてオープンにした。
途中、「左は山をも崩す」「右はドラゴン(竜)を退治する」「ジョージアから日本にきたワールドチャンピオンだ。やってやるせ!」とラップでも叫んでいるかのように何度もシャウトした。
最後はサンドバッグ打ち。
「オレはグローバルなチャンピオンだ」
ここでもまた大声で言葉を発して、最後は「ジョージ・フォアマンへのトリビュート(捧げる)」と、この3月に亡くなった伝説の世界ヘビー級王者、ジョージ・フォアマン氏の名前を告げて右フックと左フックを続けて思い切り叩き込んだ。
顔見せで終わることがほとんどの最近の公開練習では珍しいショータイム。
視察した佐々木陣営の中屋トレーナーは、「まさか全部を見せてくれるとは思わなかった。プライドが高いんでしょうね。見せても関係ないと」と受け止めた。
フロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)ら、超一流のチャンピオンが、公開練習で違いを見せつけることがひとつのデモンストレーションとなっている。
ノーマンにもその自負がある。
「真のチャンピオンとしての試合を見せたい。チャンピオンであることには理由がある。それを見せる。モハメッド・アリもマイク・タイソンも、みんな同じ練習をしているが、彼らが記憶に残るのは、結果を残しているからだ。結果で違いを見せ、自分に対しての強さを証明する」
そして「佐々木との違いを見せる」とも付け加えた。
それはどこか?と突っ込むと「頭を使えることと、クレイジーなところだ。そもそも顔を殴り合う競技は狂っていないとできない。オレは誰よりも狂っている。戦いの神だと思っている。自分の限界を超えることに恐れはない。だから他の選手の一歩上をいくんだ。世界王者がなんたるかを体現できるようなチャンプになりたいんだ」と意気揚々と返した。