
「オレの左は山を崩し右は竜を退治する」公開練習で衝撃与えたウエルター級王者ノーマンは中谷潤人から刺激…それでも視察した佐々木陣営は「想定内。勝負できる」と“番狂わせ”に自信
ノーマンは、29戦で27勝(21KO)2無効試合のキャリアを誇り、昨年5月に王座を獲得したジョバンニ・サンティリャン(米国)戦は、10回にアッパーでKOに仕留め、初防衛戦ではデレク・クエバス(プエルトリコ)を3回に左ストレートでダウンを奪い戦意喪失に追い込んだが、一発で試合を終わらせるようなKOマシンではない。佐々木は米ラスベガスでノーマンのスパーリングパートナーを務めたことのあるアマ300戦のキューバ人とも拳を合わせているが、その選手が2人を比較して「佐々木の方がパワーは上だ」と証言したという。目の前で見た中屋トレーナーは、そのパワーの差を再確認。そこに“番狂わせ”の可能性を見極めたのである。
ノーマンは会見でこうも言った。
「アクション満載の激しい試合になることを約束する。佐々木もそういう試合をしてくる。お互いのぶつかり合いになる。最終的にはベルトを持って帰る」
打ち合いに応じてくれればワンチャンスがないわけではない。
中屋一生会長も「インタビューのやりとりも聞いていたけれど、彼らが考えていることも含めてすべて想定内」だという。八王子中屋ジムでは、2012年にウクライナで、同ジムの淵上誠が当時WBAミドル級王者だったゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)に挑み3回TKO負けを喫して「あの時はすべてが違いすぎた。何も通用しなかった」との暗い過去があるが、目の前にいるウエルター級王者は、まだ24歳で初防衛戦をクリアしたばかり、まだ完成された絶対王者ではない、との見方をしている。
最後に。
中屋トレーナーの囲み取材中にすぐ隣でノーマンがパンチングボールを打ち出した。その音が大きいので、場所を少し移動したのだが、ノーマンが「ここでやっていていいのか?」と気を使ってやめようとした。このリスペクトを怠らない律儀さが不気味ではある。