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ルイス・ネリが練習を公開。大型扇風機のような高速コンビネーションを披露した(写真・山口裕朗)
ルイス・ネリが練習を公開。大型扇風機のような高速コンビネーションを披露した(写真・山口裕朗)

5.6東京ドーム世界戦は「命はかけない」井上尚弥vs「死ぬ気」“悪童”ネリのイデオロギー対決…「弱点見つけた」発言に真吾トレーナーは「過去の相手もそう言って何もできなかった」

 5月6日に東京ドームでスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(31、大橋)に挑戦する元2階級制覇王者のルイス・ネリ(29、メキシコ)が23日、都内の帝拳ジムで公開練習を行った。ネリと担当トレーナーは井上がスパーリングパートナーとして呼んでいたメキシコ人から情報を収集し「弱点がいくつかある」と豪語したが、視察に訪れた父親の井上真吾トレーナー(52)は「今までの対戦相手もそう言って何もできなかった」と相手にせず「思いの他、さっくりもある」と早期決着の可能性を示唆した。

 

大橋会長と井上真吾トレーナーがネリの公開練習を視察した(写真・山口裕朗)

「井上はバスケット界のマイケル・ジョーダンのような選手ではない」

 

 見る人が見ればわかる。
 70人近い報道陣に囲まれてネリはシャドーとミット打ちを1ラウンドずつ行った。ミット打ちは魅せる3分間。サウスポースタイルからジャブの連打、至近距離でのフック、アッパーを交えた大型扇風機のような高速コンビネーションを何回か披露した。その荒々しいスタイルに迫力はあったが、キレやスピードは感じられず、逆に粗さだけが目についた。
 井上陣営からは大橋秀行会長、井上真吾トレーナー、松本好二トレーナー、太田光亮トレーナーの4人が視察にきた。ネリのインタビューからすべてを見守った真吾トレーナーは「ワイルドなのは想定内。思ったより(体つきは)コンパクトかな。大きくは感じない」と語り「本気ではやっていないんでしょう。パワフルさは感じたが、キレはそう感じなかった」と率直な印象を伝えた。
 来日して3日目で試合までちょうど2週間。
「5か月も準備してきた。100%だ。過去に比べて10倍、20倍くらい、良いコンディションに仕上がっている」とネリは胸を張り「時差にもすぐ慣れる方」とも言ったが、現在127パウンド(57.61キロ)で、55.34キロのリミットまで残り2キロちょっとの減量の進行度などを考慮すると、この動きが、ネリのベストではないだろう。元々、スピードのあるタイプではないが、どこかシャープさに欠けていた。
 公開練習に先立ちネリはインタビューに応じた。
「井上はグレートなボクサー。すべてを備えておりスピードがありパワフルでキャパシティもある。そうでないと彼はオレのライバルになっていない」
 4団体統一王者へのリスペクトも忘れなかったが、米国メディアが伝えていた挑発発言を確認されると「彼は過大評価されている」とのたまった。
 井上が昨年12月の試合でWBA&IBF同級王者のマーロン・タパレス(フィリピン)を仕留めるのに10ラウンドかかったことを、その根拠として出した。
「いい選手だが、バスケットボール界のマイケル・ジョーダンのような選手ではない」
 ただ戦前予想は、ネリが圧倒的に不利だ。英ブックメーカー「ウィリアムヒル」による賭け率は井上の勝利が1.08倍。ネリの勝利が7.5倍と大差がついている。
 これに対しては「それは当たり前。井上が無敗で王者なんだからな。だがオレにも自分の拳がある。必ず勝利をつかめる」と返し、こう反論した。
「いくつか(井上の)弱点を見つけた。勉をした」
 サミール・ロサーノトレーナーも「井上はいい選手でたくさんの引き出しを持っているが、ミスもしている。そのへんは勉強してきた。どこ?内容は5月6日の試合を見てもらえばわかる。井上のスパーリングの相手を務めたメキシコ人から色々と話を聞いた」と気になることを言った。
 井上はメキシコからパートナーを4人招聘していた。
 ネリは、米専門サイト「ボクシング・シーン」のインタビューに答え「彼の弱点は、パンチを打つ際にガードが空くこと。そこがオレのつけいるところだ」とも語っていたが、「ディフェンス以外にも、いくつか弱点がある」と付け加えた。

 

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