なぜRIZINで朝倉未来は牛久絢太郎をKOできず平本蓮は斎藤裕に惜敗したのか…SNSで話題沸騰の朝倉ー平本戦の実現可能性は?
ケージが使用された総合格闘技イベントの「RIZIN LANDMARK 5 in YOYOGI」が29日、代々木第一体育館で1万3837人の超満員のファンを集めて行われ、フェザー級のWメインイベントで平本蓮(24、剛毅會)が元RIZINフェザー級王者の斎藤裕(35、パラエストラ小岩)に1―2の判定で敗れ、昨年9月のフロイド・メイウェザー・ジュニア(米国)とのエキシビションマッチ以来の復帰戦となった朝倉未来(30、トライフォース赤坂)は、前同王者の牛久絢太郎(28、K-clan)に3-0で判定勝利した。試合後に榊原信行CEOは、朝倉ー平本戦の実現の可能性について言及した。
「負けたけど負けていない」
インタビュールームに緑のガウンを羽織って現れた平本は悔しさを隠さなかった。
「ダメージ(ポイント)は取っていると思い、3ラウンドを勝ちに徹してしまい、恐れていたことが起こった。MMAをやりすぎた。もっとボクシングをやれば良かった」
反省ばかりが口を突く。
平本は、テイクダウンディフェンスに集中し、そこでは勝者の斎藤が「強くなっていた。進歩していた」と称賛する対応力を披露した。2ラウンドには、倒された直後に体を入れ替えて斎藤のバックを取ったシーンもあったが、明確な攻撃に転じなければポイントにはならない。
得意の打撃戦では、受けに回ってのカウンター狙い。ローを蹴り、スイッチや、右ガードを下げて誘うこともしたが、クリーンヒットは一発もなかった。逆に斎藤が「これがMMA」とワンツーをヒットさせた。ゴングと同時に、勝利を確信した元チャンプがケージに上がってアピールしたシーンがすべてを物語っていた。
1-2のスプリットデシジョンという結果を「勝った可能性はあったが、(勝敗をジャッジという)人に委ねたのでしょうがない」と言い、ジャッジへのクレームはつけなかった。
「3ラウンドを淡々とこなしたのが悪かった。ドライブを警戒して距離を取りすぎた。もっと自分からプレッシャーをかけて、倒しにいく作戦を遂行すべきだった。リスクを背負って被弾覚悟でやってもよかった。殺伐とした空気感をうまく出せずに、MMAをやってしまった。受けて、切って、殴ることを考えていたことがよくなかった。選択ミス。もっとガツガツ、K-1時代からのポテンシャルを出せばよかった」
まったくもって平本の反省通りの試合である。
平本は過激なSNSやトラッシュトークとは裏腹に、いざマットに上がると、パーフェクトを求めて勝ちに徹しすぎて、観客の目を意識したリスクを負った勝負に出られない傾向がある。昨年11月に元DEEP王者の弥益ドミネーター聡志を圧倒した試合で一皮むけたかのように見えたが、斎藤というもう一つレベルが上がった元RIZIN王者を相手では、またしても弾けることができなかったのである。
それでも平本の豪語は続いた。
「負けたけど負けていない。なんも悔しくない。オレは死んでいない。すぐに復活する」
対するRIZIN3連敗中だった斎藤はリング上で感極まった。
「テイクダウンディフェンスに特化してくることは予想していた。1ラウンドの立ち合いで大丈夫だと思った。彼の打撃が当たるラインを少しずらしながら、僕が距離を制した。彼が待ちになってくれたのがよかった」