
「馬鹿げている。あの状態で僕に何をしろと言うのか」角田裕毅が赤旗中の追い抜きで10グリッド降格の厳罰処分に激怒も…カナダGP決勝は最後尾スタートの試練
F1の今季第10戦、カナダGPの公式予選が14日(日本時間15日)、モントリオールのジル・ヴィルヌーヴ・サーキットで行われ、レッドブルの角田裕毅(25)が2回目(Q2)の11番手で敗退した。直前のフリー走行3回目(FP3)で赤旗掲示中に他車を追い抜いたとして、決勝での10グリッド降格も科され、2レース連続で最後尾からのスタートを余儀なくされることになった。角田は、その厳罰に対して「馬鹿げている。あの状況で僕に何をしろと言うのか」と激怒した。
赤旗中に86kmで走行のピアストリを171kmでオーバーテイク
不振が続く角田がさらに窮地に陥った。
Q3進出を自らに課して臨んだ公式予選。Q2で10番手につけていた角田は、最終盤で姉妹チームのレーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(20、フランス)に抜かれて0秒099差の11番手に後退。上位10台が争うQ3へ進めなかった。
4レース連続でQ3進出を逃した角田は、フラッシュインタビューで「11番手という結果は、満足できるものではなかった」と反省を口にして、こう続けた。
「マシンのバランスは非常によかった。しかし、まだマシンを学んでいる途中であり、限界まで攻めたが、マシンを信頼できるようになるまでもう少し時間が必要だ。それでもチームのサポートは素晴らしかったし、本当に感謝している」
しかし、泣きっ面に蜂と言うべきか。角田は1回目(Q1)が始まった段階で、決勝における10グリッド降格のペナルティを科されていた。
発端は公式予選の直前に行われたFP3。マクラーレンのオスカー・ピアストリ(24、豪州)がバリアに接触してマシンを破損させ、赤旗が掲示されていた状況で、後続の角田がゆっくりと走っていたピアストリを追い抜いた。
これがスチュワード(審議委員)による審議対象となり、赤旗中断中に他車をオーバーテイクする違反行為と認定された。国際自動車連盟(FIA)が発表した報告書には、召喚された角田とスチュワードとのやり取りが記されている。
「22号車のドライバー(以下角田)によると、81号車(以下ピアストリ)は明らかなダメージを負いながらコースの左側をゆっくりと走行していた。角田はピアストリの破片にぶつかるかもしれないと心配になり、追い越しを決めたという。ピアストリは時速86kmで走行し、角田が時速171kmで追い越した。スチュワードがこの問題を幅広く検討した結果、ピアストリに明らかな問題があったとはいえ、角田が安全な距離を保って追従することを妨げるほどのスピードで走行していたわけではないと判断した。角田がピアストリをオーバーテイクする正当な理由がない状況であった」
この違反により、角田には決勝での10グリッド降格とペナルティポイント2点が科された。Q2敗退で決勝では、11番グリッドとなっていた角田は、厳罰により自動的に最後尾の20番手からスタートすることとなった。
しかし、角田はスチュワードの裁定に納得できなかった。米国のモータースポーツ専門メディア『motorsport.com』によると、角田は、「とても悔しいし、本当に馬鹿げている」と、その裁定に激怒した。
「赤旗中断中に他車をオーバーテイクできないのはもちろん理解している。しかし、ダメージを受けたオスカーのマシンの後ろで待っていろというのは、デブリ(破片)にぶつかるのを待てと言うようなものだ。実際、タイヤが横に曲がっているのが見えたし、このままではタイヤが飛んでくるとも思った。あの状況で僕に何をしろと言うのか。自分がペナルティに値するかどうかも含めて、本当にわからない」