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計量後のフェイスオフで王者のノーマンと佐々木尽は一瞬不穏なムードに(写真・山口裕朗)
計量後のフェイスオフで王者のノーマンと佐々木尽は一瞬不穏なムードに(写真・山口裕朗)

国内で36年ぶりウエルター級世界戦…井上尚弥がエールの佐々木尽は“三日月フック”で“世紀の番狂わせ”を起こせるのか…パッキャオと対戦した元王者は「ノーマンに危険も」可能性を示唆

 一方のノーマン陣営からは、プロモート契約を結ぶトップランク社の93歳の“総帥”ボブ・アラムCEOがわざわざ来日した。
「攻撃的でパンチも強い。将来のスーパースターになる」との期待がノーマンにあるからこその来日だった。
「生で見たことはないが佐々木は非常に攻撃的だからチャンスがある。お互いに遊ぶことなくファンのためにいい試合をすべきだ」
 井上尚弥大好き、日本大好きのアラム氏だが、佐々木への社交辞令は控えめだった。それだけ自信があるのだろう。
「目の前の試合をクリアすれば彼にはいろんな試合を組める可能性あり統一戦もある」
 佐々木戦の次に見据えているのはベルトの統一。IBF&WBO王者のジャロン・エニス(米国)からはオファーがある。WBC王者のマリオ・バリオス(米国)には、7月19日にラスベガスで、かつてトップランク社がプロモートしていた46歳の元6階級制覇王者のマニー・パッキャオ(フィリピン)が4年ぶりに復帰して挑戦するが、アラム氏の見立ては厳しかった。
「10年前であればパッキャオが勝つと言えるが今となっても難しい。彼は46歳だ。長年も試合をしていない。年には勝てない」
 ノーマンの対戦候補としてパッキャオは頭にない様子だった。
 アラム氏が惚れ込むノーマンの優位は動かない。英大手ブックメーカー「ウイリアムヒル」のオッズは、ノーマン勝利が1.2倍で、佐々木勝利が4.5倍。ノーマンが練習を公開する前までは佐々木勝利は、4倍だったが、さらにオッズが広がった。
 佐々木が勝てばまさに“世紀の番狂わせ”である。
 では佐々木は勝てるのか。米専門サイト「ボクシングシーン」にアップされたトーク番組の中で、元WBO世界スーパーライト級王者で、2014年にまさにこのWBOのウエルター級王者だったマニー・パッキャオに挑戦して判定負けしているクリス・アルジェリ氏は、その可能性を否定していない。
「もしノーマンが技術戦に持ち込まず戦おうとすれば彼は劣勢となるだろう。佐々木は額を前にさらしながらやってきてパンチを打ち続けてくる。ボディーから上へとてもいいパンチを放つ。彼の試合を何試合か見たが、彼は戦うことができるし打たれても気にしない。彼はアンディ平岡(大橋)に一度倒されたが、平岡はとても優れており、140ポンド(スーパーライト級)で(体重超過し)佐々木は自滅した。147ポンドに階級を上げてから6勝6KOだ。彼はウェルター級でより優れたボクサーになった。力強く耐久力もある。これは本当の戦いとなる。ノーマンがある時点で自分にはパワーがあると思って打ち合えば、ピンチに陥るとは言わないが危険だろう」
 この見方が正しいだろう。一発に頼るのでなくステップワークも抜群のトータルファイターであるノーマンとボクシング勝負をして勝ち目はない。ペースをつかまれる前に、1ラウンドから電光石火の勝負をかけて殴り合いに持ち込むしかない。

 

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