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迷走劇の背景を説明する横浜F・マリノスの西野努スポーティングダイレクター
迷走劇の背景を説明する横浜F・マリノスの西野努スポーティングダイレクター

なぜ最下位の横浜F・マリノスの監督人事は迷走しているのか…ホーランド、キスノーボ監督の連続解任に新監督候補との交渉決裂

 半年に及んだ迷走が選手の士気を下げ、チームへの帰属意識がなくなりかけているとすれば、チームを立て直すのは容易な作業ではない。コーチングスタッフや選手の去就をはじめ、西野SDを含めたフロント幹部しか知り得ない情報が、クラブから公式発表される前にメディアで報じられている点にも大きな問題がある。
 こうした状況に、西野SDはこう語っている。
「あらためて社内だけでなく、業務委託しているスタッフに対しても、社長から直接文書で注意喚起するといった対処をしてもらっている。世の中を騒がせていることは認識しているが、これはマリノスの人気の裏返しだと受け止めている」
 マリノスは20日夜に、大島ヘッドコーチが暫定で指揮を執る上での登録が完了したと発表した。現役時代にマリノスに4シーズン所属。ストライカーとして34ゴールをあげた同コーチは、引退翌年の2017シーズンからアカデミー、そしてトップチームで指導者を務めてきたマリノスへの思いもあって火中の栗を拾ったと明かした。
「難しい状況ではあるけど、じゃあ誰がやるんだと思っていたし、恩返しというか、何としてでもこの局面を打開したい、という気持ちで引き受けた。過去がどうこうではなく、いま現在、そしてこれからは自分たち次第だと選手たちには言っている。自信をもって伸び伸びと、アグレッシブに、ポジティブにプレーすることが大事」
 ホーランド元監督と同じく、大島ヘッドコーチもトップチームを率いた経験はない。それでもマリノスというチームと所属選手たちを、そして攻撃的なサッカーを貫いてきた歴史を熟知している点で、大きな変化を生み出せる可能性もある。
 西野SDはJ1残留を果たせる勝ち点のボーダーラインを「40」に設定している。現状で勝ち点「14」だから、残り19試合で9勝をあげれば到達する計算になる。前半戦のマリノスのままならかなり高いハードルになる一方で、残留圏の17位・FC東京との勝ち点差は6ポイント。絶望的なほどには開いていない。
 その意味でも、ともにホームの日産スタジアムで、大島ヘッドコーチの指揮で臨む今日21日のファジアーノ岡山とのJ1第21節、そして第15節の未消化カードとなる25日のFC東京戦は、マリノスの今シーズンを占う上でも極めて重要な連戦になる。
(文責・藤江直人/スポーツライター)

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