
「投手出身の監督は失敗することが多いが藤川に監督としての落ち着きが出てきた」球界大御所がやることなすことすべて成功で破竹7連勝の阪神指揮官を大絶賛
阪神が5日、横浜スタジアムで横浜DeNAに3-0で勝利して破竹の7連勝、貯金は今季最多タイの「14」に膨らみ、2位広島とのゲーム差が今季最大の6.5に開いた。先発のジョン・デュプランティエ(30)が3安打の完封勝利、「7番・ショート」でスタメン抜擢した熊谷敬宥(29)が1人で全打点を叩き出すマルチ安打の活躍を見せた。巨人OBで西武、ヤクルトで日本一監督となっている広岡達朗氏(93)は、「投手出身監督は失敗することが多いが、藤川に監督としての落ち着きが出てきた」と藤川球児監督(44)のマネジメント能力に一目を置いた。
スタメン抜擢の“脇役”熊谷が全打点を叩きだす
ハマスタの一塁ベンチで藤川監督は七福神の「えびすさん」みたいな笑みを浮かべていた。やることなすことすべてがハマって今季初の7連勝である。
ヒーローインタビューに指名されたのは「7番・ショート」で今季6度目のスタメン抜擢に応えた8年目の“脇役”熊谷。1人で全打点を叩きだしたのだ。
ショートでのスタメンは6月7日の楽天戦以来、今季2度目。スタメンを告げられた際には「びっくりした」という。それでも「いつも準備してるんでいつも通りできた」と胸を張った。
2回の第1打席こそ併殺打に倒れたが、4回二死一、三塁の先制機に、横浜DeNAの三浦監督が「失投。浮いたボール」と嘆いた大貫のスライダーを見逃さなかった。
レフトフェンスの最上段を直撃するプロ初の三塁打が2点タイムリーとなった。
「大山さんと(前川)右京が2アウトからつないでくれたので何とか返そうという気持ちでやった」
さらに6回無死一、三塁から今度はツーシームにつまりながらもライト前へ落とす。
「内野手が中間守備をしてたんで何とか事を起こそうかなという気持ちでやっていた」の執念がバットに乗り移った。運動量の多いショートというポジションで、フル稼働している小幡への「休養」と、前日に途中出場でタイムリーツーベースを放っている熊谷のバットスイングを見て藤川監督は、熊谷のスタメン起用を閃いたのだろうか。
スポーツ各紙の報道によると、藤川監督は、連日の脇役の活躍に対して「毎試合スタメンで出るためにやっているからだと思うし、何歳からでも現役が終わるまでいつでもそういうチャンスはある。30歳を超えてレギュラーになった選手もいる」との持論を展開。
「自分たちも普段あきらめることなく現役が終わるまで成長し続けようとするところをじっくりと見ている。彼らがよく努力をし、それを続けているというところ」と、選手起用についての哲学を明かしている。
その熊谷の活躍をお膳立てしたのは大山だった。前日は、藤川監督が酷暑の影響で体調を崩す選手が対戦した巨人や他球団でも目立つためコンディションに配慮して「休養」を与えてスタメンから外して代打で1打席立っただけ。その「休養」でパワーが充満したのか、先制した4回は二死から一、二塁間へヒット、追加点をあげた6回には先頭打者として右中間を破る二塁打を放つ猛打賞の活躍だった。これも結果が出なければ、批判の声が起きてもおかしくない大胆な選手起用を決断した藤川監督のマネジメントの成果だった。また藤川監督が、我慢強く起用を続けている前川も4回、6回と大山に続く連打でチャンスメイクした。