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ピカソに0-2判定で敗れた亀田京之介が試合後にコメント(写真提供・TMKジム)
ピカソに0-2判定で敗れた亀田京之介が試合後にコメント(写真提供・TMKジム)

「“噛ませ(犬)”で呼ばれただけ。しゃあないです」亀田京之介が井上尚弥の12月対戦候補ピカソに一人がドローの0ー2判定負け…WBC指名挑戦者はスキル高いが迫力不足でインパクト残せず

 プロボクシングのWBC世界フェザー級23位の亀田京之介(26、TMK)が19日(日本時間20日)、米ラスベガスのMGMグラウンドでのノンタイトルフェザー級10回戦でWBC世界スーパーバンタム級1位のアラン・ピカソ(24、メキシコ)と対戦し一人がドローの0-2判定で敗れた。ピカソは12月27日にサウジアラビアでスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)へ挑戦する最有力候補。ディフェンスやパンチの正確性に見るものはあったが、亀田三兄弟のいとこを仕留めきることができず役不足の印象しか残すことはできなかった。またこの試合は4年ぶりに復活リングに立ちWBC世界ウエルター級王者に挑んだ元6階級制覇王者、マニー・パッキャオ(46、フィリピン)のアンダーカードで、パッキャオは判定ドローの大健闘を見せた。

 最終回前に史郎トレーナーが「何してんねん。悔いが残るぞ!」とハッパ

 これではとうてい“モンスター”の敵ではない。
 ピカソは、日本フェザー級のユースタイトル歴はあるものの地域タイトルは持たず、世界ランキングにも入っていない亀田を仕留めきることができず、最終ラウンドのゴングを聞いた。ジャッジの一人は、95-95のドロー。残りの2人が98-92、97-93でピカソを支持したため2-0判定で勝利したが笑顔はなかった。
 一方、一瞬、悔しそうな表情を浮かべた亀田も、敗戦を認め、ピカソの右手を持って掲げて潔く勝利を祝福した。
 最終ラウンドを前に叔父の亀田史郎トレーナーが檄を飛ばしていた。
「おまえ何してんねん。いけや!後半は全部(ポイントを持って)いかれてるぞ。際どいぞ。やられるぞ。悔いが残るぞ、絶対に。この3分で変えろ。なあ、ラストにかけなしゃあないぞ、わかっている?」
 それでも亀田は勝負しきれなかった。逆転KOができなかった時点で敗戦を覚悟していたのかもしれなかった。
 12月27日に「リヤドシーズン」の本拠地サウジアラビアで井上に挑戦するプランが組まれているWBCの指名挑戦者ピカソを相手に先に主導権を握ったのは亀田だった。
 前々日会見で「試合当日はこいつを必ずボコボコにして、すべてを奪う。12月に井上戦をこいつがやると言うてるんで、それもぶっ壊したろうと思ってます」と語った意気込みに偽りはなかった。
 体格で上回る亀田は、1ラウンドからフックを振り回して積極的に前に出て距離をつめると、左フック、右ストレートをヒットさせた。ピカソがアッパーで反撃すると「打ってこい!」のジェスチャー。2ラウンドも攻勢に出て手数でピカソを上回った。ジャッジは3人共に1、2ラウンドを亀田につけていた。3ラウンドの終盤には、ノーガードでクビを動かすトリッキーな仕草を出す余裕もあった。
 だが、ガードを軸にしたピカソのディフェンスのスキルは高く、致命的なダメージを与える一打はおろか、ほぼクリーンヒットを当てさせてくれない。
 逆にピカソは、至近距離からの正確なジャブ、ボディブローでプレスをかけて、ショートアッパー、左右のフックを打ち込みポイントを挽回していく。5ラウンドには、「ピカソコール」が会場を包み、中継アナが「ビューティフル」と表現した左フックを綺麗にヒット。亀田も打ち返しての打撃戦となるが、その中で冷静にワンツーを決めた。
 そのラウンド後のインターバルで史郎トレーナーがハッパをかけた。
「辛口でいっても(ポイントを)取っているとは思うけど、勝っていると思ったらあかん。いけるのやったらいけ!」
 だが、中盤戦からのペースはピカソだ。左のボディブローからロープを背負わせてショートパンチを浴びせ、7ラウンドには、トリプルコンビネーションで、亀田を追い込んだ。亀田も反撃の手を緩めないが、そのほとんどがピカソのディフェンスでシャットアウトされてしまう。

 

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