
7.30横浜で比嘉大吾が挑むWBA王者バルガス「弱点は修正してきた」は本当か…視察した野木トレは「肉を切らせて骨を断つ」
エリック・エンリケ・プロモーターもこう補足した。
「試合後、映像を見直す反省会をしている。彼は指摘すると、謙虚に受け止めて改善する姿勢を見せる。隙とはおそらくガードが落ちることを言っているんだろうが、『ガード落ちたね』と言うと、しっかり練習する。パーフェクトファイターは存在しない。隙もあれば弱さもあるかもしれないが、ダウンを取られても取り返している。障害を乗り越えて勝つことを経験している。その強さを比嘉は試合当日に見ることになるだろう」
確かにメンタルは強い。おまけに2016年の大晦日に結婚した妻メロディーさんの父がトレーナーで「息子のことを信頼している」と陣営に団結力もある。プロモーターは「特別な絆だ」と称えた。
そしてバルガスも反撃を忘れていなかった。
「比嘉にも隙がある。彼のフットワーク、特に左への動きなど、強みではない点がいくつか見つかっている」
具体的な比嘉攻略もイメージできている。
「手数の多い激しい試合を想定している。相手がどのような動きをしてきても、ボクシングをするならボクシング、殴り合うなら殴り合う戦法に変える。相手の出方を見ながら決める。勝ちにいくのはもちろだが、結果よりプロセスが大事。相手をしっかりと研究してきた、実際、向き合うと印象は違うだろうが、1、2ラウンドは様子を見ながら戦いを決めていきたい。クリーンショットをちゃんと打つことが大事。有効パンチだ。必要ならビッグマッチを繰り出す」
ただディフェンス面の弱点や打たれ弱さは、一度や二度のキャンプで解消できるような簡単な問題ではない。
一方で公開練習を視察した野木トレーナーは「いい脚をしていた。膝下の重量がない。体幹で凄く動けるんじゃないですかね」と、ほっそりとした、かもしかのような脚に注目した。
ただ井上尚弥(大橋)とマニー・パッキャオ(フィリピン)のような発電機を思わせるふくらはぎはない。下半身でパンチにパワーを伝達できないのではないかとも思うが、野木トレーナー曰く、それは民族の肉体的な特徴の問題で「黒人の陸上選手は、こんなふくらはぎで凄いスピード」という。
そして会見で話題となった弱点問題について触れた。
「世界王者ですから、今日見ると隙なんかひとつもない。でも比嘉も同じですよ。弱点があったとしても、その弱点を突くには、いくつもの山を越えないといけない。肉を切らせて骨を断つーーでいかないと弱点はつけない」